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第29話

「すっげー!ノンケのヒロの為に男の娘に?」 レンゲでバクバク、俺の作ったチャーハン食べながら悠人。 全くもって、落ち着きがない、食べながら喋り、なかなか見た目によらず、下品な奴だ。 いきさつを悠人にある程度、話した。 俺も悠人といると気が抜けてしまい、スカート姿なのにベッドの縁で足は広げ、手は後ろに突き、見た目は女だが、男に戻ってしまう。 周りを見渡すと変わらず、本棚にはゲームソフトばかりが並んでいる。 食事のため、一旦、テレビゲームは中断している。 「でも、すっげーね、全然、気づかなかった、まじまじ見てみて、似てるなあ、くらいでさー。全然、違和感ないね」 「マヂで言ってる」 「そりゃ、もちろん。女にしか見えない」 そうなのか、と改めて痛感する。 「で?金玉は取ったの?」 「は?」 「性転換すんのかなあ、て」 「しないよ、アホか」 「やっぱり無くなったら怖い?」 「そりゃーな。息子には愛着もあるし、痛いのも嫌だし、女になりたいとか、て願望も無かったからな」 「ふーん、確かに痛そ」 「お前、誰にも言うなよ?」 「言うな、てなにを?」 「俺が今、女だってことをだよ」 「あー、別に話しても特になんないし」 「お前、ペラペラ良く喋るから心配」 「まあ、ヒロの彼女になった訳だし。迷惑かけたくもないし言わないよ、兄貴だもん、あいつの」 「よく言うよ」 「これでも、ヒロを大事には思ってるよ、伝えんの下手くそだけど。引きこもりが治ってよかった、て思ってる」 悠人の以外な言葉。 悠人は何気ない顔でチャーハン食べて餃子に貪りついてる。 「瑞希さん、これからは家族としてさ、色々、話したり、話し聞いてよ」 「...2人きりの時だけな」 こうして俺は、女として、悠人と約束と再会を果たした。

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