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第50話

とある夕食の後でした。 この日はいつも部屋に引きこもりひたすらゲームしているか、ゲーム友達の家かセフレの家に泊まったり、なヒロの兄、悠人もいて、長男の海斗さん以外の家族で団欒です。 夕食の後、片付けをするお母さんを手伝おうと、俺はエプロンを付けようとした。 「瑞希ちゃん、いいのよ、私に任せて?瑞希ちゃんは寛いでいて?」 「でも、家族も多くて食器も大量ですし」 「いいのいいの、もう慣れてるようなものだから。今日は瑞希ちゃんはゆっくりしていてちょうだい」 お母さんが優しく微笑みます。 「私達のことで無関係な瑞希ちゃんを巻き込んじゃって、ごめんなさいね。あの人は性欲がとても強いから...辛いときは我慢せずにあの人を拒んでね、私も協力する」 お母さんの暖かい言葉にホッとする俺がいます。 「ありがとうございます、お母さん」 お母さんの計らいを遠慮なく、俺はヒロの部屋へ向かうために階段を上がっていました。 ふと、悠人の部屋のドアが開いているのに気づきました。 すると、ひょい、と微かな隙間から悠人は顔を出すと俺を手招きします。 なんだろう...と思いながら、悠人の部屋に入りました。 突然でした。悠人が瞼をしっかりと閉じ、手を合わせてきました。 「な、なんだよ、いきなり」 「金、貸してくれない!?」 「金!?」 俺と悠人はとりあえず、並んでベッドに座り、話しを聞きました。 悠人の前でわざわざ、女のフリをする必要はないので、脚を開いて座り、手は後ろに置き、リラックス。 「なんで金がいるんだよ」 「...欲しいソフトがあるんだ。新作が出てさ。めっちゃやりたいの、そのゲーム」 俺は呆れながらしょんぼりうなだれる、悠人を見つめました。 「俺はもう辞めたけど、お前はまだゲイビのモデル現役だろ?人気ないの?」 見た目は美少年なんです。 口を開けばアホ丸玉しになり、勿体ない逸材ではあります。しかもオタクです。 「撮影中も集中できなくて、頭ん中、早く終わらせてゲームしてー!て感じで....」 「そりゃ売れる訳ないわな」 俺は認知度も高く、数々の作品に出ては常にランキングは上位だった、ウケの元ゲイビモデルです。 「...今回だけだぞ」 悠人が小遣いを貰っていないのを知っていた俺は一旦、財布を取るためにヒロの部屋に行きました。

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