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第62話

お母さんが旅行に行き、専業主婦はこんなに大変なのか、と痛感する俺がいます。 家事全般に料理、また家はある意味、お屋敷のように広く、掃除も大変です。 俺は和室でお茶をいれ一休み。 不意に普段、留守にしがちな悠人がやって来ました。 長い髪に女物のトップスにスカート、エプロンといった俺ですが、ゲイビ仲間だった悠人の前では自然と男に戻ります。 「どうした?悠人」 「あのさ、俺、彼氏出来たんだ!」 「彼氏?良かったじゃん、どんなやつ?」 「同い年。共演がきっかけなんだけど、そいつもゲーマーでさ。話しがあって」 「だから、最近、家を空けがちなのか」 「それもある。あいつは一人暮らしだから」 嬉しそうな悠人に俺も笑みが零れる。 「だから、たまに家、空けるかもだけど、心配しないでね。瑞希には伝えとこうと思って」 「了解」 そう言うと悠人は部屋に戻っていき、しばらくすると、手を振り、自宅を後にした。 「とうとう、あいつにも彼氏かあ」 美少年なんだが、口を開けばアホ丸出しな悠人が少し大人になったように感じた。 「さて!続きやりますかね」 俺は立ち上がると家事の残りは済ませ、後は食事の支度のみ。 医師のお父さんと大学生の海斗さんが戻るまでに、料理上手なお母さんに負けない料理を作らないと。 俺も料理好きではあるが、お料理教室をしていたお母さんの腕前は絶品なのだ。

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