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※朔月のお願い③

 瞳に涙を滲ませて、襲い来る悦楽の波に耐えている鈴真を見て朔月も興奮したのか、鈴真の性器をいじる手を止めずに唇を重ねてきた。 「ん、ふ……んんっ……」  ねっとりとした舌に歯列をなぞられ、朔月の舌を受け入れるために開かれた口の端から、飲み下しきれなかったふたり分の唾液がこぼれ落ちる。  朔月は唇を離すと、鈴真の顎を伝うわずかな唾液を丁寧に舐めて、深く激しい口付けから解放されて息を喘がせている鈴真を熱を帯びた眼差しで見つめた。 「早く楽になりたいでしょ? でも、これ以上はひとりでしなきゃ駄目だよ」  朔月はそう言って、鈴真の手を強引に彼のものに押し当てる。そして、先程自分がやったみたいに鈴真の手を動かしてから、その手を放した。 「い、やだ……っ」  鈴真は中途半端に高められた熱を持て余し、頬を赤く染めて首を横に振った。  普段はあまり性欲がない鈴真だが、朔月に触れられるとどうにも我慢がきかなくなる。大嫌いな男に触れられたくてたまらなくなるなんて、どうかしているのに。これも血の契約のせいなのだろうか。 「鈴」  朔月にしつこく促されて、鈴真はそろそろと自身を擦り始めた。朔月の視線から逃れるようにきつく目を閉じ、さっさと終わらせたい一心で手を動かす。 「んっ、ぅ、はぁ……っ」  抑えようとしても声が漏れてしまうくらい、どんどん高みへと昇りつめていくうち、次第に羞恥も屈辱も、何もかも忘れて快感に侵されていく。  気持ちいい。早くこの熱を手放したい。  そればかりを考えながら自身の一番感じるところを刺激すると、鈴真は呆気なく果てた。 「ぁ……あっ、あ……」  制服を汚さないように、もう片方の手で勢いよく飛び出す白濁を受け止める。全て出し終えて、まだ射精の余韻に浸りながらようやく閉じていた目を開けた。 「鈴、いい子だね。ちゃんと言われた通りできたね」  朔月はまるで子供に言い聞かせるみたいな口調で言って、鈴真の頭を優しく撫でた。しかし、鈴真は朔月の顔が見られなかった。段々冷静さを取り戻し始めると、朔月への怒りや屈辱感が湧き上がってくる。朔月に言われるままにこんな恥ずかしい行為をしたことに対しても、悔しくて自分が許せなくなる。 「もう二度と自分を傷つけるような真似はしちゃ駄目だよ。いいね?」  満足そうに言って、朔月は鈴真の身体を抱き寄せた。温かい手のひらに背中を撫でられながら、鈴真は泣き出したい衝動を懸命に堪えていた。 (くそっ……! こんなやつ、大嫌いだ……!)  大嫌いなはずなのに、鈴真は朔月の腕の中からなかなか抜け出せなかった。

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