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※嫉妬④

「う、ぁ……っ、朔月、嫌だ……!」  鈴真は、制服を着たまま下着とスラックスだけ下ろされて、後ろから朔月に犯されていた。  しかも以前のようにベッドの上ではなく、朔月がわざと少しだけ開いたままにしたドアに向かって、立ったまま後孔を突かれている。 「どうして? 本当はもっとして欲しいんでしょ?」 「ちが……っ、あっ、うぅっ!」  後ろから囁かれる朔月の意地悪な言葉を否定しようと口を開くが、漏れてくるのはいやらしい喘ぎ声だけだった。  鈴真には、どうして自分がこんな状態になっているのか理解できない。この間朔月に抱かれた時は、満月のせいで身体が昂っていたから、あんなふうに我を忘れて朔月との行為に没頭したのだと思っていた。しかし、今満月の影響を受けていないはずの鈴真の身体は、意思に反して朔月から与えられる快楽を求めている。 「さ、つき……もう、やめ……っ」 「駄目だよ」  先程から何度も絶頂を迎えているのに、朔月がまた鈴真の性器を扱くから、一向に萎える気配がなく、強すぎる快感が苦痛となって鈴真の身体を苛んでいた。  だが、朔月はもう立っているのもやっとの状態の鈴真の身体を支えながら、容赦なく腰を打ちつける。 「ひっ……あ、あぁっ……! ドア、閉めて……」  もうこれ以上声を抑えられそうもない。懇願するように朔月を振り返ると、後ろから激しく唇を奪われて、息ができなくなる。 「んんっ……は、あ……」  朔月の噛みつくような口付けに夢中で応えるうち、方向感覚を失った鈴真は、ベッド脇のサイドテーブルに突いていた手を滑らせた。鋭い破裂音とともに何かが飛び散り、閉じていた目を開けて下を見ると、サイドテーブルに置かれていた花瓶が割れて床に染みをつくっている。散らばった破片の傍らには萎れた花が無造作に転がっていて、それを見た鈴真はなぜか哀しくなった。 「……あぁ、何やってるの鈴。今の音で誰か来ちゃうかもね?」 「……っ」  朔月の言葉に背筋が寒くなる。もしこんな姿を誰かに見られたら──そんなことは、鈴真のなけなしのプライドが許さなかった。  だが、朔月は身体を強ばらせてドアのほうを見た鈴真に対し何を思ったのか、はっ、と嘲るように息を吐き出して機嫌が悪そうな声で呟く。 「……そんなに、風羽さんに見られるのが嫌なんだ?」 「え……」  その時すでに意識が朦朧としていた鈴真には、朔月の言葉が聞きとれなかった。そんな鈴真の反応に何を勘違いしたのか、朔月は再び鈴真の身体を責め立てながら、冷たく吐き捨てた。 「おかしいなぁ、僕に犯されてよだれ垂らして喜んでる君が、そんな姿を風羽さんには見られたくないだなんて……せっかくだから見せつけてあげようよ。君はもう心も身体も僕のものだって、あいつにわからせてあげよう?」 「い、やだ……っ」  朔月に揺さぶられながら、鈴真はわずかに残った理性をかき集めて、彼の腕から逃れようともがいた。  嫌だ。見られたくない。だって──こんな姿、朔月にしか見せたくない。朔月だから、こんな酷い仕打ちをされても耐えているのに、どうして朔月はわかってくれないのだろう。言葉にできない寂しさで、胸が押し潰されそうになる。

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