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※ふたりだけの夜①

「君を抱きたい」  雨はいつの間にかやんでいて、鈴真を抱きしめる朔月の声だけが響く。  鈴真は彼の腕の中でゆっくり頷いた。 「僕も……お前に触れたい」  まだ聞きたいことは山ほどあるけれど、今はそんなことはどうでもよかった。朔月に触れたい。その想いはもう我慢できないほどに大きく膨れ上がり、鈴真の胸を圧迫している。  朔月は、まるで美しい獣のように瞳の奥に情欲を燻らせて、鈴真の唇を奪った。そのまま器用に鈴真を抱き上げて、ベッドの上に押し倒す。  鈴真はやっと朔月に触れられることが嬉しくて、彼が鈴真の着ている服を脱がすのを大人しく受け入れた。  窓から射し込む街灯の灯りに、鈴真の白い肌がなまめかしく晒される。朔月は自分も着ていた服を脱ぎ捨てると、鈴真の首筋に吸い付いた。先程鈴真が自身でつけた爪痕に舌を這わせ、音を立てながら鈴真の全身を丁寧に愛撫する。そして、鈴真の脚の付け根に顔を埋めた。 「ひっ……朔月、何を……」  朔月の舌に陰茎を舐められて、鈴真は思わず腰を引かせた。だが、朔月は無言で鈴真の腰を引き戻すと、既に熱く昂ったものを頬張った。 「ぁ、やめ……ひぁっ!」  やめさせようと朔月の髪を掴むが、彼の口内の感触や舌の動きが気持ちよくて、ろくに力が入らない。朔月はしばらくの間鈴真のものを舐めたり、口に含んで吸い上げたりして責め立てた。鈴真がびくびくと背を反らして達しそうになっているのを堪えていると、追い討ちをかけるように喉の奥で擦られた。 「だめ……! も、出ちゃう……あ、あぁっ!」  結局、快楽に抗えずに鈴真は朔月の口内に白濁を吐き出した。肩で息をしながら射精の余韻に浸っていると、朔月はようやく鈴真から唇を離し、彼が放ったものを躊躇いもなく飲み下した。 「な……っ、吐き出せ!」  鈴真は目を剥いて叫ぶが、朔月は口元についた鈴真の残滓をぺろりと舐めとる。その仕草が妙に色っぽくて、鈴真は恥ずかしさに目を瞑った。 「飲んだって平気だよ。ずっと自分でしてなかったの? すごく濃い……」 「馬鹿!」  呑気に味の感想を言われて、鈴真は真っ赤になって朔月の腹を蹴った。しかし、その拍子に足の裏が朔月の勃ち上がったものに触れて、その硬い感触にびくりと身体がすくむ。 「鈴……わざとやってるの?」 「ちが……あっ、うぅっ!」  一瞬息を詰めた朔月が、無防備に開かれた両脚の間に手を伸ばし、窄まりを指先で弄り始める。 「こんなところまでびしょ濡れだね。これならそこまで慣らす必要もないかな」 「んっ、あ、はぁっ……」  朔月の言う通り、元から濡れていた鈴真の後孔は、いとも容易く朔月の指を飲み込んだ。そのまま中の感触を確かめるように弄られて、飲み込む指が増えていくうちに、全く触れられていないはずの鈴真の陰茎は再び硬度を増していた。

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