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※地下室②

 部屋の奥から、わずかな水音と苦しそうな声が漏れ聞こえてくる。思わずゴクリと唾を飲み込み、開け放たれたドアの向こうをそっと覗いた。  瞬間、身体が硬直して動かなくなる。  使用人の男が獣じみた息遣いで、床に座り込む鈴真の口に自身を突っ込んで腰を動かしている。鈴真が逃れられないように両手で頭を固定し、根元まで深く咥えさせ、鈴真が嘔吐くのも構わずに自分の欲望を彼の喉奥に押しつけた。  最初は何をしているのかわからなかった。けれど、その行為の意味を悟った時、朔月は怒りで目の前が真っ赤に染まるのを感じた。  気がつくと、朔月はそばにあった花瓶で男を殴っていた。花瓶が割れ、男の頭は血まみれになり、怯えた表情で朔月を見ている。むき出しになった男の陰茎は反り返っていて、朔月は躊躇うことなくそれを靴の裏側で踏み潰した。「ぎゃあっ」という男の叫び声が聞こえたが、無視した。 「さ……つき……」  朔月が我に返ったのは、鈴真のか細い声が朔月の名前を呼んだからだ。振り向くと、鈴真は唇から唾液を垂れ流して床に倒れていた。男に殴られたのか、口元は赤く腫れている。 「鈴……!」  朔月は男を放置して鈴真に駆け寄った。鈴真は意識が朦朧としているのか、虚ろな目で朔月を見上げ、苦しげに浅い呼吸を繰り返している。 「鈴……もう大丈夫だからね」  優しく声をかけて鈴真の身体を抱き上げる。そのまま地下を出て二階に上がり、自室のベッドの上にそっと身体を横たえた。

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