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※変わりゆく想い①

 鈴真の身体は熱く、どうやら熱が出ているようだ。朔月は氷枕を持ってくるためにベッドから離れようとしたが、鈴真が朔月の制服の裾を掴んで引き止めたので、再びベッドに向き直った。 「朔月……苦しい……」  涙目で訴える鈴真は、いつもよりも扇情的で美しかった。ドクン、と身体の奥に火がつく気配を察し、朔月はそれを振り切ろうとしたが、鈴真の下腹部が形を変えているのを目にしてタガが外れた。 「……今、楽にしてあげるよ」  朔月はそう言って、鈴真のズボンを寛げて彼の性器を取り出した。そのまま指先を器用に動かして、上下に擦る。 「ぁ……あ……っ」  鈴真の唇からなまめかしい声が漏れる。初めて触れた鈴真のものは熱くて、硬く張り詰めていた。それは自分のものと同じなのになぜか嫌悪感はなく、むしろもっと触りたいとすら思った。 「ん、ん……っ、あ、朔月……っ」  鈴真は朔月の名前を小さく叫んで、呆気なく果てた。鈴真の放った精液が、朔月の手のひらの上でどろりと糸を引く。  やがて正気に戻った鈴真は、朔月の手元を見て青ざめ、顔を両手で覆った。 「出てけ……」 「鈴……?」  鈴真は屈辱を滲ませた表情で、指の隙間から朔月を睨みつけた。 「出てけ……! 出てけよ! 僕に近付くな!」  自分が朔月によってイかされたことがよほどショックだったのか、鈴真は朔月に背を向けてぶるぶる震えていた。  朔月は呆然として、言われた通りに鈴真から離れ、部屋を出た。バタン、と背後でドアが閉まり、朔月はそれに寄りかかったまま床に座り込んだ。  頭の中は先程見た刺激的な光景で混乱している。けれど、ひとつだけわかったのは、自分が鈴真のプライドを傷つけたということだ。  ドアの向こうから、鈴真の嗚咽が聞こえてくる。その声を聞いていたら、なぜか朔月は無性に鈴真の肌に触れたくなった。手のひらにまだ残っている鈴真の精液に目をやり、それを舐めてみると、そんなはずはないのに気のせいか少しだけ甘いような味がした。  朔月はその手で自分の性器を掴み、無心で動かした。普段こんなに欲情することはないのに、朔月の中は鈴真への醜い欲望でいっぱいになり、そんな自分を止められなかった。 「っは……」  息を弾ませながら達した朔月は、手のひらの上で混ざり合うふたり分の精液を見て、罪悪感で目の前が真っ暗になった。  ──こいつが誘ったんだ。  先程殴った男が、朔月を見て言い訳していたことを思い出す。  違う。鈴真のせいではない。鈴真は被害者だ。それなのに──鈴真は泣いていたのに、自分の中の欲望を抑えられず、彼の泣き声にすら興奮した。そんな自分が信じられない。  鈴真を笑顔にする、そのためだけに生きてきたのに、いつから自分はこんなふうになってしまったのだろう。これでは鈴真を性処理の道具として扱っていたあの男達と、同じじゃないか──  朔月は膝に顔を埋めて、しばらくその場から動けなかった。

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