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触れ合う心①
それから朔月は一緒にいた鈴真のクラスメイトとともに保健室へ向かい、駆けつけた教師に事情を説明した。保健医は鈴真を病院に運ぼうとしたが、鈴真は意識を朦朧とさせながらも「病院には行きたくない」と言って聞かなかったので、朔月はとりあえずここでできるだけの治療をして欲しいと保健医に頼んだ。
信奉者達は怪我の治療をされたあと、教師達に連れて行かれた。蒼華会のメンバーである朔月には、この学園において教師を凌ぐ権力がある。朔月が退学にしろと言えば、おそらくすぐに退学処分になるだろう。
鈴真のクラスメイトは緊張した面持ちで朔月にお礼を言った。まだ目を覚まさない鈴真を心配そうにしていたが、朔月が「心配しないで。君のせいじゃないから、あまり自分を責めないでね」と声をかけると、ぎこちなく頷いた。彼は迎えに来た友人とともに先に寮へと戻って行った。
用事があるという保健医が部屋を出て行き、朔月は鈴真とふたりきりになった。
鈴真は頭に包帯を巻かれ、赤く腫れた頬にはガーゼが貼られている。先程治療のためにシャツを脱がされて露わになった腹は内出血で赤黒く染まっていた。
朔月は自分の軽率な行動のせいで鈴真を傷つけたことに責任を感じていた。不審な手紙が届いた時点であいつらを問い詰めるべきだった。鈴真に矛先が向くことなどわかりきっていたのに、油断していた自分が許せない。
鈴真が眠るベッドの横にパイプ椅子を持ってきてそこに座り、彼の様子をじっと見守る。身動ぎした鈴真の手が何かを探すようにシーツの上を這い、朔月はその手を優しく握って「鈴?」と声をかけた。
鈴真のまぶたがゆっくりと開く。澄んだ青空みたいな瞳が朔月の姿を映し出し、ほっとしたように息を吐いた。
「……朔月」
「よかった……目を開けてくれて」
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