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第5話
「...それは辛かったな」
俺は圭のサラサラした髪を撫でた。
「でも圭は何はともあれ、好きな先輩に処女、捧げたんだろ?痛かった?」
「...セックスのときは優しかった、だから、信じたくなかった」
俺は頬杖をつき、ふう、と溜め息をついた。
「...羨ましいな。好きな人だっただけ」
「...どういう事ですか?」
「俺さ、中学んとき、陸上部だったんだけど。みんなより細身だし顔も中性的だからかな、先輩たちに回されたんだよね。それが初体験」
「...酷い」
「びっくりして、涙も出なかった。それからしばらくは先輩たちの公衆便所。中学卒業して、美容学科のある高校に入るまで、それは続いたよ」
圭がしんみりした表情になった。
「星の数、てほど、俺たち...ゲイは出会いは少ないけど、ゼロ、て訳じゃないよ。圭もまだ16なんだし、これからこれから」
俺はそう言って綻んだ笑顔を見せてコーヒーカップに口をつけた。
「.....今日、泊まってもいいですか?」
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