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第12話

まだ16の育ち盛りの圭を思い、仕事で疲れていたが、コンビニ弁当ではなく、スーパーに寄り、買い出ししてから圭を連れ、自宅に帰った。 エプロンを付け、夕飯作りの為にキッチンに立っていると、俺のスウェットに着替えた圭が俺の真横にいた。 「手伝いましょうか」 「いいから座ってな」 「手伝います」 意外にも圭は包丁捌きに慣れていた。 なんでも両親ともに子供の頃から忙しく、たまに料理はしていたらしい。 2人で作った料理で互いにお腹を満たすと、テレビを見た。 距離を置いて並んでいたが、徐々に、わからないくらいの感覚で寄ってきていて、気がつけば、俺の肩に圭の顔があった。 「...近い」 「...お兄さん、いい匂いがする」 俺の肩をすんすん、鼻を啜り、嗅いでいる。 「...柔軟剤じゃない」 「そうなのかな、いい匂い。優しい香りがする」 いつまでも俺の肩に顔を寄せて嗅いでいる。 俺は真っ直ぐ、なんてこと無さそうにテレビを見ていたが、意識しない訳はなかった。 「...お兄さん」 「...なに」 「...お兄さんのこと、好きになっていいですか」 落ち着いた大人びた16歳の声色にドキッとした俺がいた。

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