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第16話

「い、いやだ...」 裸に剥かれた俺は取り囲まれ、ホモだ、オカマだと罵られる。 「俺にもやらせろよ」 1人は俺を抑えつけ1人は俺の脚を持ち上げる。 「ほら、これが好きなんだろ?」 「違う!俺が好きなのは...!」 ハッと目を開くといつもの天井ではなく、心配そうに見下ろす黒目がちな瞳だった。 「健さん、大丈夫?だいぶ、うなされてたみたいだけど...」 時折見る、初めて回された、あの日の夢。 俺は陸上部の仲が良い先輩がいた。 勇気を振り絞り、当時、中1の俺は1つ上のその先輩に勇気を振り絞り、秘かに告白した。 先輩は目を丸くしたものの、すぐに苦笑した。 「...悪い、健。お前といると楽しいけど、後輩としか思えない」 俺は先輩はゲイではないんだし、仕方ない、と諦めるつもりだった。 「お疲れ様でーす」 俺はいつも通り、陸上部の部室を開けた。 なにやら、先輩たち数人が俺を見て、ニヤニヤしていた。 「ど、どうしたんですか」 「聞いたよ、お前、ホモなんだって?」 「最近、彼女がやらせてくれないから掘らせろよ」 「な、なに言ってんすか、意味わかんないっす」 ふと視線を感じ、振り返ると、告白した先輩が立っていて同じように笑ってた。 「俺のことが好きなんだろ?だったら俺の友達らも気持ちよくしてやってくれよ」 俺は声が出ず、震えた。 数人がかりで抑え込まれ、裸にされた。 「やめてください!」 「どうせ、お前、妊娠しないんだろ?まさか、妊娠するからやめてください、て意味じゃないよな?」 そうして、その場にいた数人の先輩に無理やり犯された。 涙も出なかった。 空っぽになった気分でひたすら掘られていた。 退部しようにも、当時、水泳部の期待の選手だった俺は顧問から引き止められる。 まさか、先輩たちに犯されてるから退部したい、なんて言えるわけもなく、中3まで耐えた。 祐介から同棲したい、と何度か言われたが、拒んでいるのは、実はたまにこうして夢でうなされてしまうせい。 最近は無かったのだけど...。 冷や汗が滲むおでこが優しく拭われ、何故か、抱きしめてくれた。 「大丈夫。もう大丈夫だからね、健さん」 俺は暖かく包まれ安堵し、再び眠りについた。

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