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第18話
「にしても、今日は平日だってのに何故か土日並に忙しくてさあ、健のとこはどうだった?」
「いや、うちは平常運転だったかな」
圭のことを話そうと閉店後に祐介と待ち合わせたのに、何故か圭のことを言い出せない俺がいる。
とりあえず、人前で話す訳にもいかないし、俺の家へと向かった。
鍵を差し込もうとして、ふと、開いているのに気がついた。
部屋に入ると、制服姿で真新しいエプロンをつけた、圭がキッチンに立つ後ろ姿があった。
「おかえりなさ...」
背後の祐介を見て、圭の笑顔が消えた。
「おかえりなさい、お兄さん」
「た、ただいま、圭」
圭が瞬時、いつもの無表情から笑顔を取り繕った。
「えっと...誰?」
祐介の面食らった顔。
圭はしずしずと寄ってくると、
「健さんの弟の圭です。兄がいつもお世話になってます」
深々と圭は祐介に頭を下げた。
きちんと挨拶のできる圭は多分、良家の息子なんだろう。
「あ、いや、こちらこそ。お前に弟がいたなんてなあ、早く言えよ、健」
「あ、う、うん」
「お兄さん。お兄さんのお友達の分の夕飯も用意するね」
にっこり俺に微笑み、再び圭はキッチンに立った。
なんとも複雑な思いの俺はしばらく、圭の後ろ姿を眺めていた。
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