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第2話
◇
明け方に怒鳴り声が聞こえ、宮郷は飛び起きた。夢の中のことだったのか現実に起きたことなのか判断に迷った。しかし夢のことではなかったらしい。まだ怒声が聞こえている。なかなか治安のいいこの建物に何故揉め事を持ち込むのか。どういう者がこの同じ建物に住んでいるのか、確認ついでに珍しくチェーンロックを掛けてから外を覗いた。脂ぎった汚らしい男は裸で、見覚えがある。その腕を引くのはアニメか何か、最近のアイドルでも着ないような衣装の女性的な若い男だ。同性カップルの痴話喧嘩だろう。駅の裏通りで見たことがある。別れるの別れないのと掴み合い、殴り合いになっていた。今目の前にあるのは駅前でよく見る異性カップルに近い。片方が片方を怒鳴るか殴るかする。宮郷も一度仲裁に入ったことがある。泣きじゃくる女の髪を引っ張り、土下座させ、傘で引っ叩いているのだから間に入らないわけにはいかなかった。男のほうは酒に酔っていて別れ話が拗れたらしい。それでいて女の方が別れないで欲しいと頼み込んでいるのだから宮郷も通報するだけして呆れて帰った。
寝呆けた頭をぶるぶると振った。いつでも通報できるように端末を構えた。長閑 な暮らしを奪うのならいつでも追放するよう動く。
「放せ、このタコ!」
怒鳴る男は帰宅直後に見た悍 ましい、薄ピンクの乳頭を持った人間オットセイだ。気が違っている、すでに妖怪とそう変わらない都市伝説的なものも思ったものが治安の悪い繁華街裏にのさばっている反社会的勢力の下っ端みたいに喋っている。しかし全裸で、股間には銀色の複雑な形状の輪が照っている。
「お願いです、お願いです、決まりなんです、決まりなんです!」
背は高いが華奢で、少し長めの髪が雰囲気によりいっそう嫋やかな感じを与える青年は泣きそうな声で毛の覆われた太い腕に縋り付いている。何か厭らしい空気によって目を惹かれた。
「殺す気かぁ!」
「殺すだなんて!お願いです……」
物騒な単語が飛び出して宮郷もびっくりした。
「薄気味悪い!変なのに捕まっちまったなぁ!」
胸毛や腹毛を惜しげもなく晒す全裸の中年男はまた怒鳴った。
「だって、私ばっかり……」
「てめぇみてぇなでけぇクリちんぽにこれ以上ズコバコされてたまるかッ!垂れ流しになっちまうだろうが!クソの面倒も看てくれるってのかい?え?」
「ああ……そんな言葉遣いはやめてくださいまし………!」
「うるせぇ!ロケット陰核 ちんぽがよぉ!」
ぶくぶくとした穢らわしい手が、その毛むくな腕を掴む美青年の指を剥がそうとした。
「うるさい!」
連れ込んでいなければこの建物に女の住人はいない。しかし高さのある声がホールに響いた。ホストがいるのは知っているが、その客かも知れない。もしくは本当にデリバリーヘルスを利用しているやつがいるか、恋人を連れ込んでいる。姉妹かも知れない。痴話喧嘩を繰り広げる彼等の対面の部屋から聞こえた。全裸の男は舌打ちをして、奇妙な服装の美青年は悄然として呟くように謝った。
「何見てけつかる!」
全裸男が宮郷のほうを向いた。目が合った。玄関扉を閉めるのも忘れていた。
「ちんぽよこしな!」
「やめてください……!静かにして……」
奇妙な身形の美青年はとうとう泣きべそをかいて浅ましくグロテスクな脂肪男を止める。
「お兄さん、あーしゃ下の階の管理人室で便所やっとります。ちんぽこがイライラしたら、この便所穴にびゅるびゅるどぷどぷ出してくだせぇ」
突然男はにやけ面に変わり、宮郷に尻を突き出した。絵に描いたような活火山みたいなのが尻たぶの中心で赤くかぶれ、白い溶岩を垂らしている。膣内射精のシーンがあるアダルトビデオよりも禍々しさと汚らしさのある卑猥な光景だった。
「てめぇはやめろ!クリちんぽシコって大きくしてな!」
でっぷりと脂ぎったオットセイみたいな中年男は珍奇なファッションの美青年に吐き捨てた。怒ったように毛むくの両腕を振ってエレベーターに乗ってしまう。残された美青年は膝から崩れ落ち泣き出してしまった。宮郷は頭を抱える。首を突っ込むのではなかった。激しい後悔が押し寄せる。
約束の時間になっても来ないものと思っていた。糖分過多なコーヒーともいえないデザートコーヒーを飲みながらクラウドユニコーンの近くにある小洒落た喫茶店で待っていた。夜中に初対面の男に泣かれてその場では早く寝るよう宥めたが、あまりにもうだうだと弱音を吐くためにこの店を提案した。来なければ来ないで構わなかった。窓辺のソファーに凭れかかる。
「あの……」
しくしくと泣いていた清楚な感じの美青年があの珍妙な着衣でやって来た。アニメや漫画のキャラクターを思わせるその風貌は人目を引く。その現実離れしたおかしな服に四肢の長さと少女然とした柔和で端正な顔立ちが合っているから嗤えない。
「昨晩は、すみませんでした」
下げた眉や伏せた長い睫毛、垂れがちな眦、噛み締めれた桜色の唇。宮郷は男を相手にどきりとした。
「座れよ、お兄さん」
見たところ年上だと思った。20代前半の色艶だが雰囲気が落ち着いている。
「失礼します」
「バイト面接じゃないんだから」
相手は訳が分からなそうだった。そして座ると膝の上で指を揉み合う。
「何か飲まないの?甘いもの苦手なん?」
「どう頼んでいいか……分からなくて」
「お嬢様かよ」
宮郷は彼を待たせ、適当に良さそうものを注文した。見た目からしてあまり大きなものは飲めなそうだったために一番小さな器にしても他の店の最小規格と比べると随分と大きい。
「あ、あの……お金……」
「いいよ。お近付きの印。………で?」
彼は青褪めた顔をして俯いている。その顔色では高く盛られた生クリームを食えそうにはない。
「名前は?オレは宮郷イセ」
「久常 です」
「上の名前?下の名前?」
「僧侶の名前です。昴群星 を統 べる会の……」
宮郷は遠慮もなく眉間に皺を寄せる。聞いた覚えがあるようでない。
「あ~、あれね」
まったく知らないではないが、よく知っているでもない。曖昧に濁す。人間関係に摩擦を生む必要はない。理解する姿勢さえ示しておけば円滑にいく。甘過ぎるコーヒーに食い飽きたアルバイト先の賄いが恋しい。
「あの後よく寝られたん?」
「はい……」
「あの男、誰」
まったく見当がついていないわけではない。謎のチラシを目にしている。そしてあの汚らしい臭そうな中年男はチラシの内容に関わるようなことを言っていた。
「分かりません。昨日……――昨日といっても日付的には今日、初めて会ったんです」
「で、使っちゃったん?あのトイレを」
透明感のある顔が一気に赤くなる。
「トイレだなんてそんな……」
真面目で律儀、堅い気質なのだろう。それでいてあの猥褻な男といやらしいことをしたのだろう。その事実に苦悩している様子だ。
「言い争ってるから驚いた」
「あれは……決まりが、あって……」
透き通ったビー玉のような目が泳ぐ。
「まぁ、飲めよ」
久常と名乗った嫋やかな美青年は上司と乾杯でもするかのような手付きで生クリームの高く渦巻くカップを持つと一度宮郷のほうに差し出して一礼してから口をつけた。
「で?」
「私のいる昴群星を統べる会は……一度契ったら――だからその、ベッドをご一緒したら、自分の得た倍は、お相手を満足させなければならなくて……」
「は?」
「だから、その………私はあの人にもっと、尽くさねばならないのです」
この誰もが相手を頼みたくなるような美青年から、あの誰もが忌避したくなるようなでっぷりした男を求めている。宮郷は混乱をほぼコーヒーとはいえない、コーヒー味のミルクで流し込んだ。
「なんで」
「決まりなんです。けれど、あの人は私を拒むんです。私も無理矢理、婦女――いいえ、男子暴行をするつもりはないんです。ただ、私はあの人に"お世話"になったから……なのに……」
彼は真っ白な、葬式でしか見たことのないような純白のハンカチを揉みくちゃにして顔を覆ってしまった。
「守らなければ、昴群星が怒ってしまいます。隕石を呼び寄せてしまうんです。私のせいで、世界が滅亡してしまうんです……」
「はぁ?」
しかし彼は真剣に泣いて悩んでいる。本当に隕石が降るものと思っているらしい。降らないと言ってもおそらく聞く耳を持たないだろう。宮郷はまた生クリームの溶けたコーヒー味の牛乳で喉を潤す。
「私、もうどうしたらいいか……」
「……行ってみるか、じゃあ。あのおっさんのところ。いつでも来ていいようなこと言ってただろ。話だけでもすりゃいいんじゃねぇか」
話によると目の前で涙ぐむ見目麗しい男は陰部が大きいらしい。大きければ大きいだけ悦びそうな部類の自称肉便器が音を上げているほどらしい。
「ですが……」
「隕石降ったら困るだろ?」
「……はい」
漫画やアニメくらいにしかいない純真無垢で素朴、清楚なヒロインを思わせる可憐な態度で久常は頷いた。
◇
アイドルグループのメンバーとは表向きには仲が良いということになっているが実際のところは家も知らなければ連絡先も知らない。自分を除く4人の本名すら危うい。違法薬物で逮捕された元メンバーの本名は繰り返しニュース番組に取り上げられたためいい加減覚えた。事務所に入ってすぐのデビューだった。なかなかデビューの機会に恵まれない練習生たちは共に技量を育む仲間意識があるようだった。しかしメインボーカル尾瀬ハルナ率いるライトニングのメンバーは殺伐としている。美しいマネージャーをどう自分の女にするのかばかり考え、それくらいしか共通する話題がなかった。―今までは。
夜中の痴話喧嘩に叩き起こされた尾瀬ハルナ基 嬬恋 は事務所の用意したデリバリーヘルスのことをミーティングのため集まっているメンバーに話した。皆、眠げに顔を伏せたり、スマートフォンを操作したり、音楽を聴いたり、流行りのドリンクを飲んでいる。それが気怠げに、しかし一斉に嬬恋へ注目する。仕事上か暇潰し程度でしかほぼほぼ会話のなかった彼等に、見た者のほうが恥ずかしくなるようなでっぷりと臭そうな毛深いトイレの話をする。そして彼等に肉便器を見せる流れになったのだった。初めてメンバー4人が嬬恋の自宅、クラウドユニコーンを訪れた。管理人室にいるという情報はうるさく喧嘩をしている時に得た。
エントランスに入った瞬間に汚らしいオットセイの咆哮がする。後ろにいるメンバーが顔を見合わせる。尾瀬ハルナ基 嬬恋にはまるで実感がなかったが、これでも彼含め今ここにいる5人は繁華街に大きな看板が出て、テレビにも毎日どこかしらの局には必ず出演しているようなアイドルだ。それが一目、白いトドを見にこようとしている。管理人室を開けた。大理石の土間と座敷になっているのが不釣り合いで、表向きは一流のビルディングをはりぼてにさせる。しかしそこにこだわる尾瀬ハルナではない。必要なのは数字であり、そこに裏側の事情は要らない。
目的の肉トイレは大理石の土間に置かれたシングルタイプのソファーで開脚し、卑猥な孔を入ってくる者に晒していた。両手を拘束され、足は片方ずつ左右の肘掛けに固定されている。ラバー製の目隠しも本格的で完全に視覚情報を遮断しているようだ。皮を被った粗末な陰茎にはいやらしいピンク色のプラスチックの卵が括り付けられ、モーター音を響かせている。固定された膝が閉じようとして震えている。トイレ男は複数の足音に気付いたふうだった。
「マジで便所じゃん、おっさん」
小指で振動しているプラスチックを突いた。メトロノームのように皮被りの小さな陰茎が震えた。ひくひくと頂の小穴が収縮し白い粘液を吐く。この器官で絶頂する悦びを嬬恋はよくよく知っていて事務所から口出しされるほどだが、この"便所おじさん"はあまり気持ち良さそうではなかった。
「きたなっ。臭そうだし」
嬬恋よりも人格破綻している人気ナンバー2の雨竜 ハルヒだ。尾瀬ハルナ同様に芸名だが本名など嬬恋の知ったことではない。彼だけやってきて他の3人は入ってくるのを渋っている。あまりにも冷め切ったメンバーに嫌気を隠さないリーダー矢並ハルカ、一度自殺未遂で世間を賑わせたラップ担当 弥陀ヶ原 ハルト、食うこと以外大した興味を示さないコーラス担当の小田代 ハルマ、みな芸名だが嬬恋にとって本名など取るに足らないものだ。
「事務所が用意したとか嘘だろ、これ」
弥陀ヶ原ハルトが刺青だらけの腕を見せ頭を掻いた。何かに取り憑かれたように刺青を入れるその様はファンに限らず見た者へ病的な印象を抱かせた。しまいには飛び降りの報道があるほどですでに違法薬物使用で脱退したメンバーとの関わりを匂わせた。
「ビョーキになる。帰ろうぜ。いや、俺は帰る」
メンバーの中では素朴な風貌の矢並ハルカは踵を返す。地に足ついた言動や外見をしているだけにファンからは「リア恋枠」と呼ばれている。金銭感覚も価値観も庶民的でそれだけにライトニングのリーダーとしての務めが重いようだった。
「みんなで集まったしお寿司行かない?マネージャーさんに奢ってもらお。回転するやつでいいから」
イヤホンで耳を塞ぎ、リズムに合わせ首を揺らしている小田代ハルマもリーダーに付いていきそうだった。彼も隙あらば美人マネージャーに言い寄るため油断できない。マネージャーも少年じみた容貌を活かし可憐に振る舞う嬬恋よりもマイペースで甘えたがりの彼のほうに弱いらしい。
「はぁ?お前等が信用しないから連れてきたんじゃん。あ~あ、住所晒して損した~。とっとと帰れし」
「おでヤるよ。臭そうだけろ、面白そぉだもん。おまんこより気持ち良かったらどぉしよぉ!」
きゃっきゃっと雨竜ハルヒがファスナーを下ろした。尾瀬ハルナと雨竜ハルヒはカップルみたいな関係としてファンの間では人気がある。2人で雑誌の表紙を飾るだけで増版が決まり、2人だけ写った店頭ポスターなどは盗難な相次いだという。その相手は実際に関わってみると無邪気に危険な香りがする。
「ジャーマネたんのボールペンたけろ、おちんぽに挿しちゃ~ぉ!孔全部塞いだげる!ハルナん見ててね!」
よくあるボールペンの先端部をしまい、雨竜ハルヒの屈託のない手が振動している陰茎の小穴を掴んだ。
「うんち孔とおしっこの孔塞いだらきっと気持ちいいよぉ!」
嬬恋は傍で見ていて恐ろしくなった。汚らしい小さな皮被りのものにボールペンが埋め込まれていく。肉トイレは腰を浮かせて戦慄く。
「おしっこ処女孔開通~!でもおじさん、おしっこ孔初めてじゃないでしょ」
振動しているにもかかわらず雨竜ハルヒの手は器用にボールペンを扱く。
「おひぃぃ!」
「暴れないのぉ」
片手はぶくぶくと肥って垂れ下がった乳房を揉みしだき、やがて皮を被りきれなくなるまで膨らんだ陰茎から透明な液体が漏れ出す。しかし失禁ではないようだった。
「ちんぽぉ……!ちんぽ壊れる!ちんぽがまんぽこになっちまう!」
「うぅん?おまんこになるのはこっちもだよぉ?」
好きなだけ毛むくな乳房を揉んだ手は雨竜ハルヒの保護欲を煽るような美貌からは想像もできないほどにグロテスクな肉棒を数度扱いた。血管がびきびきと挿入口を待ち望んでいる。
「ガチガチのおちんちん挿れてあげる。ボールペンとおちんちんで挟まれて、おじさんシんじゃうね!」
凶暴過ぎる屹立が弛み切った脂肪製の精便所で唯一締まりのある窄まりを穿った。ケダモノの叫びに嬬恋は唖然とした。生々しいスプラッタ映画や、偽物と謳われておきながら本物の匂いしかしないスナッフフィルムよりもショッキングな感じがあった。息を呑んで虐待に近い交尾を視界に入れる。目動 ぐことしかできない。便器人間は痛がるどころか快感を訴え、苦しみながら精液を噴き出し、女が膣内絶頂するときよりも激しく痙攣した。
「ハルナんもおちんちん舐めてもらいなよ」
雨竜ハルヒは肉便器の拘束を解き、たぷんとした白い尻を叩く。毛の生えたマシュマロだ。
「ジャーマネさんのお口まんこだと思えばいいじゃないのぉ。喉奥オナホずこずこできるよ」
「喉まんこガン突きしてくれぇ!」
前後にがくがくと揺らされながら中年肉便器は涎を垂らし、舌舐めずりする。雨竜ハルヒは可愛らしく喘いで腰を打つ。マシュマロがだぷんだぷんと波を作る。ブラジャーが必要なほど育った牡乳がトップコートの照る爪の麗かな指によって歪み、パステルピンクに近い乳首を悪戯に搾った。
「イぐっ!イぐぅ!牛イきする!あぎぃっ!んほぉおおお!」
便所男自体がバイブレーターになったのかと思うほどでっぷりした肉体が振動する。粘液まみれのボールペンが皮被りの陰茎から産まれた、そのうえに吐精する。出産と放精を一気にやり遂げた。嬬恋は顔面を何度も殴打されるような心地がした。なんらかの暴力に遭った気分である。口の中はからからで、脳裏に花火が上がっているようだ。
「喉まんこ妊娠させてくれ!喉まんこにガキ孕ませてくれぇ!」
「ほらハルナん。この喉まんこに赤ちゃん産んでもらいなよ。れもお尻まんこでもおでの子産んでね?」
「ガキ袋疼く!あっあっあひぃ!」
ぱんぱんパンパン肌のぶつかる音がする。純愛を歌う口が下品な発言を惜しまない。
「あ~、きもちぃ。もう赤ちゃん汁でちゃう……腰止まんないよぉ。元気な赤ちゃん産んでぇ」
「産む!赤ガキ産む!ああぁ~!」
過激なピストンは衝突で終わった。私生活などまったく知らないメンバーの射精を見てしまう。純情なつもりはなかったがそういう男優でもないくせ射精する場面に立ち会うとは思わなかった。しかし雨竜ハルヒのほうではまったく気にしない。このまま番組撮影に臨んでも構わないというほど飄々としている。
「受精しちまうよぉ……」
「認知しないからねっ!でもおでの子~。おっぱい~」
彼は細い腰をぼよんとした尻に押し当てたまま乳房を鷲掴みにする。手入れされた指がイチゴミルクのような乳首を扱く。比喩は要らない。搾乳している。
「おっ、おっ、おぉ、おっ乳首だめ、いきなり乳首だめッ、またイく!ちんぽ突っ込まれたまま陰核 乳首イく!」
「ダメだよ。おでイったばっかだもん。イっちゃダメ!」
乳を揉まれながら肥満体がぶるぶる震える。唇をぱくぱく開閉し涎を垂らしている。贅肉に覆われ黒々とした腕毛の茂る腕が嬬恋のほうに這う。パニックホラー映画でよく見る生きた屍よりも悍 ましく浅ましい。近付こうとしているくせ雨竜ハルヒに尻を叩かれマシュマロの溶けたみたいなそこが淡く染まる。そして接合したままのグロテスクな弾丸に撃ち抜かれる。散々揉みしだかれ捏ね繰り回され乳頭を赤くした淫猥な乳房とペンケースにされた皮被りの粗末な茎がぶるんぶるん厭らしく揺れる。
「ぉ………ぉっひぃ………ッ!」
何をされても性感が働くらしかった。助けを求め伸ばされたでっぷりと気味の悪い芋虫を思わせる指がかたかたと戦慄している。
「またカッチカチになっちゃった。2人目も産んでね。1人目の赤ちゃん、おでの精子で溺れ死んじゃうかも!キャハハ!」
暴力的な抽送が始まった。苛烈な陵辱の光景が眼球を抉る。それでいて事務所に注意されるほど何人も女を鳴かせ、いずれはマネージャーを狂わせる算段だった強欲な肉茎は熱く鼓動している。肉便器の喉子宮と生殖したがっている。口腔膣が精を搾り取ろうとしている。
「ちんぽくれぇ……喉まんこ妊娠してぇよぉ……おっおっんんほぉ!」
トイレが嬬恋を見た途端、雨竜ハルヒは激しく脂肪の塊を穿った。背筋など無さそうなぶよぶよの身体が仰け反る。毛に囲まれた薄ピンク色の清楚げな乳首を見せびらかされた。
「ちゃんとケツまんこでもおでの子孕んでよぉ~?」
嬬恋にはもう女性器のついた口しか見えていなかった。赤い舌がちろちろと口腔から誘っている。
「おでとハルナんの子産んでね!そしたらアイドルにしちゃお!おでホンキだからね?」
「ぉっおおおおっんおおおっ!イぐぅぅ!またイぐ!受精アクメするぞぉおおお!」
吼える野獣は赤黒い楔肉を咥えると途端に黙った。しかし唸り声を漏らし、ボールペンを呑んでいた粗茎がむくむくと育ち、ぱんぱんに入った腐ったプラムを皮の中で膨らませた。
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