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第2話 出会い
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律が転校してきたのは、確か高1の2学期が始まって間もない頃だった。
「……○△高校から来ました、上條律(かみじょうりつ)って言います。
よろしくお願いします」
低くてちょっとかすれた声でそう言って、頭を下げる。
その瞬間、教室が黄色い歓声に包まれた。
あまりにも声が大きくて、思わず眉間にしわが寄ってしまう。
女子はみんな有名人と間近で会ったかのような反応をしていて、
「転校生があんな綺麗でかっこいい男子とかやばいんだけど……!」
「そこら辺のアイドルよりも断然かっこいいっ…!」
「同じクラスとか超ラッキーじゃん!」
なんて、口々にそんなことを言う
壇上に立っている彼を見ると、確かに綺麗な黒髪で綺麗な顔立ちをしていて、
でも、その瞳は何も映してなくて、どこか冷たい雰囲気が漂っていた。
(…かみじょう りつくん、か… 名前からしてかっこいいもんなぁ…)
そう思って彼に視線を向けると、不意に ぱちり。 と目が合った
思わず「…ッうわ、わッ…」と変な声を漏らしながら
勢いよく目線を下に向けてしまう。
(どうしようッ……今、絶対感じ悪かった……
…大丈夫かな……気になる…、けど…ここで顔上げるのも変だし……)
そう考えながら、なかなか顔を上げられずにいると、
「はーい、これでHR終わるから一旦みんな静かにしろー
上條はあそこの空いている席な。
校内のこととかは、後で生徒とかに聞いてくれ。」
と先生が声を掛ける
席の近い女子が悲鳴にも似た歓声を上げていた。
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