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第4話

後ろに沢山の人の視線を感じながら、校内を歩く。 中には " なんで日向瀬が上條くんの横にいるの " っていう声も聞こえる (ぅぅ… そんなの俺が聞きたいくらいだよ……) 「…ぁ、ぇ…ぇと、ここが職員室……です」 緊張して、つい敬語になってしまう (……つ、次の場所までに行くまでの沈黙がきつい………   …ッなんか聞かないと……って言っても、さっきみんながいろいろ聞いてたし……) 「……ねぇ。」 「ッは、はい……!」 (ヤバイッ……! …… ま、また変な声ッ……) 「……フッ、……なんで俺より緊張してんの」 微笑みながらそう言われる (……ぅ、…だ、だってそんなに綺麗でかっこ良かったら、誰でもこーなっちゃうって……) 声に出しては言わないけど、口をもごつかせる 「名前、なんて言うの」 「ぁ、…日向瀬名瑞那(ひなせなずな)って言います…」 「へぇー "なずな" って良い名前だね」 「ありがと…」 正直、自分の名前は女っぽくてあまり言いたくなかったけど、 褒められて、内心嬉しかった 「じゃあ、俺のことは律でいーから。よろしく "ナナ”」 「へ…?……ななって………?」 突然、そう言われてつい戸惑った 「なずなのずを抜いて "ナナ”  そっちの方が言いやすいから」 そう言って口角を上げる上條くんは、あまりにも綺麗で見惚れてしまう 周りの女子は きゃあああ!上條くんが笑った! と甲高い声を上げていた (上條くんって、意外と気易い感じなのかなぁ……) 初めに向けられた瞳の色と、全然違うことにそんな疑問を持つ 「……うん。 わかった。かみ、ぁ……り、律……くん」 初めから呼び捨ては難易度が高くて、結局くん付けで返事をした 「……そ、そーいえば、なんで律くんは俺に声掛けたの?」 何を質問するか悩んで、やっぱり自分が一番気になることを聞いた。 「……なんか、ナナが子犬みたいでかわいかったから」 「ッな、何言って……!?」 予想外の答えが返ってきて、勢いよく律くんに顔上げるけど、 当の本人は至って真剣な表情をしている (俺、男なのに……ッ) 可愛いと言われることに疑問を持ちつつも、そう言われたことに 恥ずかしくなり、顔を下に向けていると 何を思ったのか 「本当に思ってるって」 そう言いながら、俺の頭をよしよしされた その瞬間、地震のように鳴り響く女子の悲鳴 律くんは笑ってるけど、どこか悪戯な表情をしていて 「ッな…!俺のこと子ども扱いしているなッ……!」 そう言って、ちょっとむすっとした表情になるも、 「フフッ、そんなことないよ」 と、はぐらかされてしまった。

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