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貴族学院~第12話 精通※~

 学院生活が始まった。  学院は12歳になった年の9月から入学し、15歳になった年の7月に卒業する。  しかしいろんな事情で早まったり、誕生日の関係で短くなったり早くなったり、留年したりする場合があるが概ね3年間ほど通うことになる。私が6月生まれ、ドナートが5月生まれだ。一か月ドナートが年上になる。だから私たちは偶然にも同じ年に入学し、同じ年に卒業する。  学院の一日は座学から始まる。  事前に行われた学力テストと能力テスト、魔法適正テストにより、クラスが振り分けられた。  クラスはS、A、B、C、Dと5クラスありSはどんな科目でも基準以上の能力があったもののクラス、Aは魔法、Bは武芸、Cは文官、Dは領地経営とそれぞれ特色があった。  私とドナートはSクラスで、高位の子息はほぼここに入る。教育にどれだけ時間と資産を使えたかで決まるからだ。 「遠巻きにされてる。」  私の周りには半径2メートルほどの空間がある。  机も椅子も等間隔に並んでいるのに。 「きっと恐れ多いからじゃないか?」  隣に座るドナートは、特に問題はないという風に次の授業の教材をあらためている。 「第五王子なんてそこらの雑草と一緒だよ。」 「一緒じゃないです。」  すぐにドナートが切り込んでくると、私は笑った。視線を感じたので、振り向くと一斉に視線を外された。なんでだ。  まあ、別に友好を誰でも深めようと思っていたわけではないので、問題はないのだが。 「このまま知り合いが増えないと、結婚相手に困るんじゃないかな。」  ぴくりと、ドナートの手が震えて止まる。 「誰の?」  それは低い声で、少し怖かった。 「ええと、僕と、ドナートの?」 「必要ありません。」 「え。」 「そろそろ先生が来ますので、口は閉じましょう。」  ぴしゃっと、私の口を閉めさせて、ドナートは教材に視線を落とした。  ドナートの口調は、学院では人の目があるので、ほとんど、側仕えの口調になっていて、普通に話していても、時折私を突き放すように、こうして敬語になる。私はそれがあまり面白くない。  そうしているうちに先生が来て、私は小さくため息をついた。  授業は選択と共通のものと二種類あり、家庭教師から習っていたものはクラス振り分け時のテストの結果により省略されていた。  もともと貴族のための学院で交流が主たる目的で、あとは国の基幹の知識や、世界情勢、国防など、いわゆる貴族の義務について叩き込む。  あとは、性の問題だ。  この時期にほとんどのものは性の兆しがある。  昔は閨教育というものがあったり、娼人を呼んで教えたりしたという。  今は、基本的な知識は学院で教わって、あとは婚約が決まったときに教えられるということだ。  私は立場が微妙なので性が決まったら政略もありうるかもしれない。  フィメルであったら、それこそ、どこか他国にでも。  私は、兄上たちに疎んじられているから、きっとそうなる。  例え、竜騎士になったとしても、任命権は王にあるのだ。 『で、このように、発情期に性交をすると、卵室に卵が形成され、個体差はあるが、概ね半年くらいで、出産する。その後、両親の魔力を糧として成長し、半年ほどで、卵から孵る。フィメルは発情期を精通より先に迎えたもの、逆がメイルだ。メイルは発情期は一生に一度か二度、もしくはないものも多い。ただしメイルがフィメルの立場になった場合、受け入れるのは一人だけになる。他のものとはもう性交はできなくなるので慎重に相手を選ぶように。他のものと逆の立場でも性交をしたら死亡してしまうからな。』  ざわざわと、教室がざわめく。ほとんどの者が、まだ性を確定していない。  それは私も、だ。  それからしばらくは性の話で教室は騒がしかった。  私たちはそれを遠巻きに見ていただけで、お互いにその話題には触れなかった。  そうしてそんな授業のことは忘れたくらいの頃。 『クエン。』  ドナートの顔が近くにあった。そのまま顔が近づいて、唇が触れ合う。  キス、だ。  子供の戯れやあいさつではなく、恋人がするようなキス。  ああ、嬉しい。  ずくりと、熱が体の中心から上がる。  抱きしめられて、裸で抱き合った。逞しい身体が、目の前にあった。  もの凄くドキドキした。  これは、私が抱かれる方、なのか?  ドナートの手が私の象徴に触れる。  そこは熱をもって固く上を向く。ドナートの手が気持ちいい。  こんなの、恥ずかしすぎる。 「ダメ、……ドナー…ト…」  ビクリと身体が震えて、暖かいものが股間に流れた。  はっと目が覚めた。 「はあ……はあ……」  汗をびっしょりと掻いていた。股間が気持ち悪い。  その時、トントンとノックが聞こえた。 「クエン、どうした?入るぞ。」 「ま、待って……」  ガチャリと開けられた扉からドナートが入ってくる。 「クエン、うなされていたみたいだったが、具合でも……」  ベッドまで迷わず近づいてきて、そこでぴたりと言葉が止まった。  気付かれた。  私の顔は真っ赤になっているに違いない。 「ド、ドナート、その、すまないが……」  視線が、上掛けを剥いで、寝間着姿をさらした私の股間に向かっている。  確かめようと下着の中に手を入れたままの格好をしていた私の。 「もしかして、一人で?」  私は涙目で首を横にぶんぶんとふる。 「は、初めてで、確かめようか、と……」 「いけませんね。クエンティン様。側仕えの私に遠慮など。主のことはすべて知っておかなければいけないのが側仕えです。」 「えっ」 「何を想像したんですか?」 「な、何って。」 「こうなる原因を夢で見たはずです。言ってごらんなさい。」 「え、え? ……夢?」  確か、ドナートが…… 「ドナートが……」  いつの間にか、下着ごと、ズボンが脱がされて、股間を曝け出していた。根元を握ったままの自分の姿が滑稽で、恥ずかしかった。 「私が?」 「こ、これを、触って……」 「触っただけですか?」  ドナートの手が伸びて、精液まみれの私の象徴を握ると、しゃがみ込んで口に咥えた。 「え……」  ぺろりと舌が私のそれを舐めた。 「待って、ドナート……あ、待って……」  ドナートの肩を押して、離そうとするが、びくともしない。  舌が、全体を舐め回していく。時折吸われて、腰に痺れが走った。 「あ、なに? き、気持ち、イイ……」  股間に熱が集まって、硬くなっていく。  嘘だ、こんな。  ドナートが、私を。 「出したくなったら出していい。」  咥えられたまま言われて、私は涙目になった。  何で、こうなったんだ?  与えられる快感は強烈で、ほどなく私は二度目の吐精を果たした。 「はあ、はあ……」  吐き出した精を舐めとって、ようやく私の象徴から口を離したドナートは嬉しそうだった。 「甘い。クエンの精は甘いね。」 「甘い、のか?」  ちらりと、ドナートの股間を見たら、大きくなっていた。 「わ、私もする。」  確かめたい。 「は?」  間の抜けた顔だった。私は嬉しくなった。 「ドナートの主だから、ドナートのことは何でも知っていないといけないんだ。もう、ドナートは精通してたんだ?」 「……つい、一か月前くらいです……」  やっぱりドナートのほうが先だった。手を伸ばしてズボンをずり下げようとしたらその手を掴まれた。 「本気か? クエン。」 「もちろん。」  ドナートは盛大にため息をついた後、仕方ないな、とベッドに乗ってきたのだった。

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