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【第3部 雲のなかの星】8.かなとこ
『おまえに黙ってたのは悪かったと思ってるが、話したところでどうにも――何とかいえよ。いったいどこへ行くんだ?』
どこへ?
クルトの足はなじんだ下町の方向へ向いている。カリーの店へ行くつもりはなかったが、落ちつかない気分のまま、学院にはいられず、寄宿舎でじっとしていることもできず、父の屋敷へ戻ることもできない。というわけで、アレクの〈声〉と追ってくる足音を無視して大股で歩く。
夕刻の喧騒が街路に響いていた。貴族の学生がふたり連れで下町を闊歩するのが目立つのか、屋台の呼び売りや通行人がクルトたちの方へ顔を向け、それに気づいたアレクはすこし居心地悪そうな様子を見せたが、クルトはこれも無視した。
「クルト、どこへ行く気だ?」
念話に応じる気がないとあきらめたのか、アレクは足を速めて横にならぶと今度はふつうに話しかけてくる。
「例の店じゃないのか?」
クルトは親友の方へちらりと視線をやってしまい、しまったと思った。アレクからは、彼がクルトの父にソールについて話した経緯をすでに聞き出していた。自分が彼の立場ならわからないでもなかったし、我ながら子どもっぽい真似をしていると思う。だが昨夜のソールとの会話を思い出すと、やりきれない気持ちが残った。
(僕なら大丈夫だ。目的を達成するためなら何でもやれるのがきみの流儀じゃないのか?)
自分のそもそもの目的はなんだったか? 王宮に入って出世すること? 魔術師として名声をあげること? おやじを見返すこと?
黙って歩き続けるうち、いつのまにか商店街へ入りこんでいた。広い道から分かれた入り組んだ路地まで、夕暮れで店じまいをはじめた雑貨屋から、これから本格的に開く夜の飲み屋まで、街路には大小の店が軒をつらねている。アレクが物珍しそうにあたりを見回している。
「兄さん、ソールんとこの!」
物思いにふけっていたせいで、クルトは眼の前にいるのが顔見知りの店主だと声をかけられるまで気づかなかった。
「店に物盗りが入ったって?」
「――ああ」
「寝込んでるって聞いたぞ。大丈夫なのか?」
「ああ――たぶん……」
ためらいがちに答えていると隣の八百屋からも主人が出てきて、クルトに紙包みを渡そうとする。
「あんた、カリーの店行くならこれ持ってってくれ。うちのかあちゃんから見舞いだ」
「ちょっと待て、うちも――」
そこにいろよ、と最初に声をかけた店主がひっこみ、やはり小さな包みを押しつける。
「これから行くんだろう?」
そのつもりはない、とはいえなくなってしまった。クルトはうなずき、すると今度は向かいから出てきたおばさんがエプロンで手をふきふき「何か必要なものがあったら届けるから、いっとくれ」という。
次から次に街の者に話しかけられるクルトをアレクは最初意外そうな顔で見ていた。しかし、そのあともクルトがいくつかの店の前で呼びとめられ、見舞いにと大小の紙包みを渡され、さらに持ちきれない分を「ほらあんた、連れのお兄さんも」と自分にまで託されるに至って、完全に呆れ顔になった。
『ずいぶん顔が広いな』
カリーの店へ通じる路地へさしかかると呼び声もなくなり、ほっとしたようにアレクが伝えてきた。
『ソールがな』
クルトはようやく念話で短く返事をした。
『それに人気があるらしい』
『ソールがな』
単純なものだ。どこへ行こうかと迷っていた先ほどのもやもやはどこかへ消えてしまった。これだけ届け物があれば、店を訪れる立派な大義名分ができたともいえる。喧嘩別れのように飛び出したとはいっても、結局のところクルトはソールの具合が気になって気になって仕方ないのだ。
恋人が近所の人びとに心配されているのも悪い気はしなかったし、彼らに自分がソールの店に属する存在だと考えられているのも嬉しい。ここは何事もなかったようにまずはソールの顔をみよう、とクルトは例によって持ちまえの切り替えの良さを発揮した。問題の棚上げには違いないが、ソールが自分のことをどう思っているのであれ、とにかく自分がソールの近くにいたいのは変わらないのだ。
それを思い出すと急にすっきりして、ガサガサと音を立てる紙袋をかかえ、今度はためらいのない早足で歩いていく。
カリーの店近くのベンチにはいつもの老婆が座っていた。クルトが通るときちんと描いた眉をあげ、前置きもなく「何やら賑やかだよ」といった。
「魔術師のお兄さんたちが来てるようだね」
「そうか。ありがとう」
魔術師? アダマール師だろうか。ソールに害なす者でなければ誰でもいい。扉の向こうの気配を読まずにばたんとあけると――何しろクルトもアレクも手がほぼふさがっているのだ――長身のローブ姿がぬっと前に立ちはだかった。後ろから弾むような声が響く。
「師匠、お客さんを脅かさないで――」
「あー」クルトの顔と両手の荷物を眺めながら男は間のびした声でいった。
「大丈夫らしい。客は客でもソールの客だ」
「クルト先輩!」
イーディが男のうしろから顔を覗かせた。いつの間に自分は先輩へ格上げされたのだろうかとクルトは思った。
「遅いじゃない。それお土産? あ……」イーディはクルトの背後にアレクの姿も認め、なぜか急に口ごもった。
「商店街の人たちから差し入れだ。遅いって?」
「あなたが来ないはずないでしょう」
「誰が来たって?」
ローブを着た大柄な影がもうひとつ扉のところへあらわれた。長身の男たちが戸口をふさいでいるおかげでクルトが店に足を踏み入れる隙間もない。だがこの相手ならクルトは知っていた。向こうもしっかりクルトを覚えていたようだ。
「きみか」とカルタン師がいう。
「いいところに来た。その荷物はなんだ?」
「これはあの――」
「まあいい、早く中に入れ。きみの馬鹿馬鹿しいくらいの魔力をちょうど必要としていたところだ」
「いったいなんです?」
灰色のローブを着た治療師はクルトの言葉を聞いていなかった。
「うしろの彼は友人か? かなりの魔力もちだな。ますます都合がいい」という。アレクが不審げに顔をしかめたが、まったく気に留めていない。
「セッキが組んだ防御回路がとんでもない代物でな」と指で自分の肩の向こうをさす。
カルタンの手の先で、暗色のローブを着た長身の男が鼻をこすっていた。日暮れもあってあたりはどんどん暗くなりつつある。店内も暗いが、魔術師たちが放つ魔力の光輝は十分に強く、クルトの眼にはっきりと見える。
「始動にえらい魔力が必要だというから、ヴェイユに来いと伝えたばかりだが、きみがいるなら足りるかもしれん」
「ソールは大丈夫ですか?」
「疲れている。いまは薬で眠ったところだ。とにかく、入ってセッキに――ああ、そのうまそうな匂いがするのは私が持つから」
にょきっと腕を伸ばしてクルトの腕から差し入れの袋を奪いとると、カルタンはうしろにさがり、通路をあけた。
「いやあ、魔力が多いって便利なもんだなあ。その美形のきみも、そっちのいい感じのきみも、いいねえ」
回路魔術師のセッキ師はのんびりした雰囲気で、かつ呑気な口調で話したが、ひと使いはとても荒かった。到着したばかりのクルトとアレクに、自分が持ってきた防御の回路へ延々と魔力を注ぎこませ、ついにアレクが根をあげると「あーもうだめ?」と平然といいはなつ。あわてたカルタンが割って入り、魔力切れの危険を避けてアレクを休ませた。
とはいえカルタンもクルトが森の施療院で会った時とはすこし印象がちがった。ふらりと書物を買いに訪れた市井の魔術師といった雰囲気で、施療院の副院長の威厳はどこかへ消えている。そういえば昨日のヴェイユも学院で会うときとは印象が異なっていた。
「セッキ、あとでこっちの仕事が増えるから無茶をさせるな。だいたい彼ら、学生なんだぞ。学院にバレないようにしたいんだ」
「あー? そういえば学院の教師を呼ばなかったか、俺たち?」
「ヴェイユは別枠だ」
店の奥のテーブルに置かれたセッキの防御回路はクルトがはじめてみる装置だった。見た目は腕輪のようだが、宝飾品も顔負けの複雑な紋様が表にも裏にもびっしりと刻まれていて、乾いた砂のように魔力を吸いこんでいくのだ。
アレクが抜けたせいか急に負荷が大きくなり、クルトは魔術師たちの会話も耳に入らなくなって力の感覚に集中した。みずからの手首から力のみちを引き出して回路へ直結させると、やがて刻まれた結節に力の溜まりができ、ついに臨界に達して回路全体にあふれ――
そして強い青い光が回路から一気にのぼり、天井をつらぬく勢いで店じゅうを駆けめぐる。
「おおーすごいな」
イーディとアレクが驚異のまなざしで光をみつめるなかでクルトはひたいからにじむ汗をぬぐった。くらくらして力が抜け、周囲が妙に平坦にみえる。
「魔力切れしてないな?」とカルタンが手を差し出した。握ったとたん手首から力が流れこみ、視界に凹凸が戻る。カルタンはうなずき、すこし休めば戻るだろうとつぶやいて手を離した。一方でセッキは無邪気に「やっぱり精霊魔術を使える人はストックが多くていいねえ」とうなずいている。
「で、これをどうするんだ」とカルタンが聞いた。
「ソールにつけさせる」セッキは答え、まだ青い輝きをまとわりつかせている輪を指先でつついた。
「こんなにうまくいくとは思わなかった。精神の防壁に加えて、物理的な魔力の干渉もこれではねかえす。ソールすごいじゃないか……魔力がないのに最強って羨ましいぞ」
「魔力がないから、だろう」とカルタンがいう。「障壁のないふつうの人間がそんなものつけてみろ。ぶっ倒れそうだ」
「そうだな。ソールにも意識のないときに装着した方がいい」とセッキはいって首をひねった。
「足にしよう」
「足?」
「足首の方がみえないだろ? これで当分は大丈夫だろう。建物にも防御回路がてんこもりだし」
カルタンは眼を細める。「当分ってどのくらいだ」
「さあ? その美形君の魔力が強いから一年くらいかな?」
セッキはイーディに向かって指をふった。魅入られたように腕輪の輝きをみつめていた彼女はひきはがすように視線をずらし、威勢よく「はいっ」と返事をする。
「上に行くぞ。手伝ってくれ」
あれよあれよという間に魔術師と弟子が階上へ消える。
クルトとアレクはそのまま見送った。見慣れない強力な回路魔術のせいもあってふたりとも展開の早さについていくことができていない。と、今度は前触れなく店の扉が開く。
「間に合ったか?」
ずかずかと店に入って来た姿にクルトは眼をみはった。ローブ姿でないヴェイユに会ったのは初めてだった。暗色の上下を着て、まるで王宮の官吏のようだ。しかも以前図書室で会ったときと同様、魔力の気配がほとんど感じられない。普段の白い姿との落差も大きく、こんな彼にはすれ違っても気づかないかもしれない。
「すまんヴェイユ。お前さんがいなくても大丈夫だった」
驚いた様子もなくカルタンがいった。
「なんだと? だったら早く伝えればいいのに」
そう答える調子もいつも学院で会う教師らしくない。
「取りこみ中だったんだ」
「まったく、こちらも暇じゃないんだ」ヴェイユは言葉を切って、じろりとクルトとアレクに目を向けた。「なぜきみたちがいる」
カルタンが肩をすくめた。「彼らのおかげであんたの魔力がいらなかったんだ」
「カルタン、彼らはまだ学生だ」
「だから学院には内緒にな」
どちらも妙に気安い雰囲気である。カルタンもセッキに対するよりずいぶん親しそうで、ほとんどなれなれしいくらいだ。いったい何なのかとクルトは不思議に思った。一方は森の施療院にいて、一方は学院の教師で、接点があるようにも思えないのだが。それに今はふたりとも、どうも身分にふさわしくない物言いで……
「それに喜べ。ソールの防御は完成したからしばらく心配はいらない」
カルタンがヴェイユの肩をぽんと叩く。
「好きなだけくだんの男と禁書の謎を追ったらいいさ。私は森に帰る。きみもここを離れろ」
鋭い視線が天井をみあげた。「回路魔術師は?」
「ソールに防御回路を装着してやってるところだ。手伝いの子が一緒だからほっておいて問題なかろう」
「そうか。それなら……」ヴェイユは不審そうに立っている学生ふたりへ視線を投げた。「きみたちは私と一緒に来るんだ」
「え!」クルトは思わず声を上げた。
「何いって――俺はまだソールの顔も見てな――」
「クルト・ハスケル。きみは特にな」
思わずクルトはヴェイユをみつめかえした。今の彼は学院でみる厳格な教師の顔だった。さっきまでカルタンと話していた謎めいた男を教師の仮面の下に隠したように思えた。
「こんなところで油を売っていていい時期じゃないだろう。私と来なさい。話がある」
「ああ、ヴェイユ」カルタンがほとんど気の毒がっているような声を出す。
「彼にはずいぶん協力してもらった。そんな風にあたるな」
「学生は学生だ」
「落ちつけよ」
カルタンは慰め顔でクルトをみつめる。
「クルト君、はるばると来てもらって魔力をたっぷり分けてもらったのに本当に申し訳ない。しかしきみのおかげでソールは当面安全だから、そこは安心してほしい。きみの魔力でべとべとになったあの回路――あれがソールを守っている。そのために今日きみはここへ来たんだと思いなさい」
「なんだその気持ち悪い表現は」ヴェイユが嫌そうに眉をよせ、ぶつぶついった。「べとべとだと?」
「ヴェイユ師、俺たちは何も関わろうという意図はなかったので……」と、アレクが困惑した顔で年長の男たちとクルトを順番に見回す。
『わかっている。私と来なさい』
ヴェイユが譲歩の余地のない〈声〉で告げ、それが最後だった。魔術師は断固とした足取りで店の外へ向かい、アレクが後をついていく。クルトはもう一度奥の階段をふりむいたが、あきらめて彼らに続いた。
『ではクルト・ハスケル。少し話をしようか』
商店街を抜けたところでアレクを早々に解放したヴェイユは、学院の方へ向かうのではなくクルトの知らない横道に入った。複雑に折れ曲がった道をたどって職人が暮らすような長屋のつらなる区域へ出る。沿道に並ぶ似かよった扉のひとつをあけ、独り者が暮らしているような質素で物のない部屋に入った。
慣れた様子で丸椅子をひき、折りたたまれた毛布のおかれた寝台を指さす。クルトは指示されるままに座った。この部屋にいるヴェイユは着ているものにふさわしい庶民にみえたが、貴族然として学院で教えている教師の顔がそこに重なると、ますます怪しげにみえた。
クルトの表情をみてヴェイユはふと微笑んだ。
『詮索はするな。学院の教師の仕事もいろいろある』
『今から何をするんです?』
『これから送る〈像〉にきみが見た男がいるか、教えなさい』
是非もなかった。
クルトの脳裏に次々と何人もの男の姿が転送される。鮮明な正面向きの絵もあれば、狭い物陰から覗いたような像までさまざまだ。すばやくめくられるページのように流れていくなか、ひとつのうしろ姿が注意を引いた。
『こいつだ! いまの男です』
ヴェイユはにやりとした。
『ありがとう』
すぐさま粗末な長箪笥をあけて見慣れた白いローブを引っ張り出し、折りたたんだまま小脇に抱える。
「では学院へ戻ろう」
「ヴェイユ師……」クルトはほとんどあっけにとられていた。
「あなたは――何者ですか?」
「さあ」ヴェイユは小さな扉をあけ、クルトに外に出ろとうながす。
『禁書がらみのことに学生は巻きこめないといっただろう』
『いったい学院は何をやっているんです?』
『学生には過ぎた問いだな』
折りたたんだローブを腕に抱えて歩き出したヴェイユは身ごなしや目つきすべてが街路に溶けこんでいて、貴族にも魔術師にも見えない。
『きみ向きの質問をしよう。ソールは王都を離れた方がいいという話はカルタンから聞いたか?』
クルトの足は予想外の問いに止まりそうになった。ヴェイユに置いていかれまいと足を速める。
『――何といいました』
『魔力の不均衡はソールの体調によくない。さらに王都はキツネがうろうろしてる。カリーの店は卵を抱えた鶏の巣みたいなものだ。今回の事件のようにね』
『森にいる方が調子がいいという話なら聞きましたが』
『そう。だがソールを書物から引き離せるかね? ましてや今はきみがいるわけだ』
念話でつながっているにも関わらずヴェイユの感情はクルトには読めなかった。一瞬ためらったものの、クルトは次の問いを発することに決めた。
『ヴェイユ師、俺もその――あの男を捕まえるのに協力できませんか? 姿も見ています』
たちまちヴェイユに笑われたのが今度こそはっきりわかる。頬が熱くなった。
『甘く見るな。自分の身の振り方にも迷っているのに協力とはね』
街路はもう暗かった。ヴェイユの魔力の光輝がほのかにみえるが、目立つほどではない。対照的に自分がまぶしいほどの光をさらけだしているのを自覚してクルトはふと恥ずかしく思った。しかしどうやってヴェイユはこれを隠しているのだろうか。この精霊魔術師も本来なら白く輝いているはずだ。
大通りを越えると学院を囲む塀が見えてくる。いつのまにかヴェイユはローブを羽織っていた。暗がりでも精霊魔術師の白がまぶしく光り、さっきまでクルトの隣にいた地味な男は消え失せている。完全に教師の風貌となったヴェイユはもうクルトに用はないといいたげだった。
『ヴェイユ師』
さっさと門の方向へ向かう教師を思わずクルトは呼びとめた。
『ソールがあなたを選ばなかったとは、どういうことです?』
ヴェイユはふりむいた。
「何の話だ」
「すみません。無作法でした」
相手が不用意にもらした内心について問うのはルール違反だ。
クルトは謝罪の意をこめて軽く頭をさげたが、予想に反して魔術師は立ち止まった。一瞬おいて返答が響いてくる。
『私たちは学院で友人同士だった。ソールと彼、そして私。彼らの事件のとき、私も騎士団に尋問を受けた。私たちは十分親しかったから、何か知っていると思われたんだろう。私は知らなかった。ふたりから何も知らされていなかった。その後私は学院を無事に卒業し、教師になっているわけだ。それだけの話だ』
ふたたび歩きはじめたヴェイユはもう、クルトがついてくるとは思っていないようだ。クルトの内心には教師のそばから解放されてほっとした気分と、もっと昔のソールについて教えてもらいたいという望みが入り混じったが、いまは寄宿舎の方向へ足を向けるしかない。と、いきなり駄目押しのような一言が頭に響いた。
『きみはソールに守られているんだ。覚えておきたまえ』
やはりこの教師はいけすかない、とクルトは思った。
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