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第2-1話主真の好物

「すごいね詠士叔父さん! こんな食べ方初めてだよ」  私よりも一足先に肉を口にした主真が破顔する。もごもごと咀嚼しながら口元が緩んでいる。  今日は家族三人で過ごせる週末。主真のために夕食を炉端焼きにしたが、初っ端から喜んでもらえたようで私は密かに胸を撫で下ろす。  チラリ、と詠士が斜め向かいに座る私へ視線を送ってくる。  どこか勝ち誇ったような笑み――俺の見立ては良かっただろ? という心の声が聞こえてくるようだ。  昼間に買い出しへ行った際、前のように海鮮ばかりでなく、肉をメインにしたほうがいいと詠士が提案してくれた。  主真は肉も魚も喜んで食べてくれるから、いつでも買える肉よりも、今が旬の魚のほうがいいのでは? と私は提案したが、詠士に「高校男子を分かってないな」と苦笑されてしまった。  そうして選んだのが、今目の前で焼いている牛のブロック肉。  表面が焼けたら削ぎ、また焼いていく。しっかりと火を通したものでも肉汁はあり、口に含めば赤身の旨みが中へ広がり、その美味しさで唾液が沸いた。  硬すぎず、食べ応えのある肉。一キロの塊を二個は多いと思ったが、脂が少ないおかげでしつこくなく、量が入りやすい。詠士が用意してくれたおろし玉ねぎの焼肉ソースをつけてご飯と一緒に食べれば、さらに食が進んだ。

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