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第2-2話主真の好物

 肉を多く食べることがキツい年齢になった私でも、これは箸が進んでしまう。  思わず網の端置かれた食べ頃の肉を次々と口にしていると、詠士が私たち親子を見て吹き出した。 「喜んでもらえたみたいで何よりだ。どんどん食べてくれ。後でピザも焼いてやるからな」  何も知らなかった主真が、詠士からの朗報に「やった」と声を漏らす。彼がピザ好きなのは私も詠士もよく知っている。これは絶対に外せないなと互いに頷き合いながら、買い出しでピザの具材をカゴに入れていた。  しかも生地もピザソースも詠士のお手製だ。前にオーブンで作ってもらったが美味しかった。溶けて軽く焦げたチーズと、まろやかな酸味のトマトソースの組み合わせは絶妙で、ふっかりと焼けた生地によく合っていた。  ――思い出しただけで口の中が疼く。肉を美味しく食べながら、舌はピザの気分になっている。なんて欲張りな口だと我ながら呆れてしまう。  一キロの肉を平らげた後、詠士が一度台所へと席を外す。  しばらくして戻ってきた時には、広げた両手を合わせたほどの大きさで、餃子のような形に包んだパン生地を持って現れた。 「詠士、それは? ピザを用意していたんじゃなかったのか?」 「これも立派なピザだ。包み焼きのピザ、カルツォーネだ」

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