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第5-1二人がかりのアメ話

 主真の言葉を聞いた瞬間、私の肩から力が抜ける。  前に比べれば、明らかに心穏やかな――詠士のことで胸は騒ぎ続けているが――日々を過ごしている。だが、長年続けてきた生き方や考え方のクセというのは、なかなか抜けないものだ。  私にはこれぐらいで十分。  いい年をしているのだから、行き過ぎた楽しみは慎んだほうが良い。  受験を控えて一生懸命に勉学へ励んでいる主真を他所に、私だけ楽しみを享受し続けるなんて――。  息子に甘えてしまっているから、控えなければという頭がずっとあったのに。  むしろ構わずに今を楽しめと背中を押されたような気がして、私は呆然となってしまう。  逆に詠士は「もちろんだ」と小刻みに何度も頷いた。 「真太郎は我慢しやすいからなあ。俺が断り切れない状況にして、やっと諦めて受け入れてくれるんだから……もっとワガママ言って欲しいんだよ。パートナーなんだから」 「うんうん。もう俺だって十八で成人したんだし、あんまり子供だからって背負おうとしないで欲しいな。まだ学生だから頼っちゃうけど。でも心は対等だから。家族なんだし、俺は自分の足で立てるから、とことん甘えてよ父さん」  詠士からのアメだけでも甘すぎるのに、主真まで……。  気持ちは嬉しいが、人生を通して甘えることをしてこなかった私には受け入れきれない代物だ。

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