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第6-2話二十五年越しの真実

 詠士の発言に主真が固まる。  そして勢いよく首だけ回して詠士のほうを見た。 「うそ?! 詠士叔父さん、大学出てるよね? 勉強せずにどうやって……」 「授業は一応真面目に受けてたからな。基本さえ押えれば、後は応用すればいいだけ。全部頭に詰め込もうとするからダメなんだ。コツさえつかめば簡単なもんだ」 「叔父さんはすごく要領が良いから……簡単じゃないし。誰でもできることじゃないよ」  素直に驚いている主真に対し、詠士が誇らしげに胸を張る。  その姿を私は別の驚きをもって凝視する。 「……詠士。私が高校生だった間、いつも私に勉強を教えてくれと頼み込んで来ていたが……本当は何もかも分かっていたということか?」  私の問いに詠士が「あ……」と頬を引きつらせた。 「いや、実は……真太郎と一緒にいたくて、勉強できないフリをしていた。中学の時は姉貴を支えたいから同じ高校行きたいって大義名分使って。高校に入学してからは真太郎の受験勉強を邪魔せず一緒にいる手段として、一番手っ取り早かったから」 「そういえば私が高校を卒業した後から、すぐに成績が伸びていたような……」 「成績が悪かったら一緒に遊んでくれなさそうだし、勉強デートだけなんて嫌だったから」  そんな思惑があったなんて、まったく気づかなかった。  今でこそ詠士とパートナーになっているが、当時はそんな考えなど一切なかった。純粋に姉思いの頑張り屋だと、私なりに応援して支えていた。  まさか下心全開だったとは思いもせず、私は額を押さえてため息をつく。  二十五年越しの真実に半ば呆れつつ、ずっと抱えていた詠士の想いと執念を思い知る。

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