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第5-3話彼を変えた男

 変化の理由を知って胸をスッキリとさせたかったのに、むしろ困惑が悪化してしまった。  詳細を聞いてみたいところだが、武井からすれば見ず知らずの人間にプライベートな深い所など話したくはないだろう。  好奇心と困惑を鎮めたいという自分の都合を抑え、俺は「そう、でしたか」と無難に答えておく。声がぎこちなく、動揺は隠しきれなかったが。  俺の様子を見て、武井が小さく苦笑する。 「私もまさかこうなるとは思っていませんでした。ずっと命を賭して人を救い、それを亡き妻への罪滅ぼしに捧げることしか考えていなかったんです……しかし、その生き方は今身近にいる人たちを苦しめるだけで、彼女もそれを求めていないと彼は教えてくれました」  ……こんなに語る人間だったのか、武井は。  口を噤むなり別の話題に切り替えれば、もう話さなくてもいい内容なのに、武井は内なる事情を教えてくれる。  詳細は知らないが罪滅ぼしと聞いて、現役時代の鬼気迫る重苦しかった空気の理由に納得してしまう。  罪を償うための救助だったからこそ、他の者よりも救助が成功した時の喜びが薄かったのか。助けるのが当たり前。それを誇ることも、安堵することも許さずに駆け抜けてきた――。  よくそんな人間をここまで変えたものだ。  あの日本人離れした外観と雰囲気の男を思い出し、密かに関心する。

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