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第2-1話提案
しばらく見つめ合った後、詠士が口元を綻ばせた。
「分かった。真太郎が活動しやすいように回数を減らそう」
「ありがとう、そうしてもらえると助かる――」
「でも俺は毎日真太郎に触れたいから、何もしないっていうのは耐えられない。だからペースをゆっくりにしよう。昼も夜も最後までやる日を少なくする。その代わり、ちょっとずつ触れ合いを濃くしていく。どうだ?」
……つまり挿入は控えるが、毎日何かはされるということか。
詠士とともに暮らすようになって一年経ったが、まだ私の体に飽きていないらしい。
少し嫌な予感はしたが、確かに最後までやらなければ身動きが取れる。
昼間はもちろん、夜も交わった次の日は朝が気だるくて、午前中は思うように動けないことが多い。昼夜とも控えてもらえるなら助かる。
自分の中で答えを出し、私はこくりと頷いた。
「じゃあそうしよう。後で我慢できないから撤回する、なんて言うんじゃないぞ」
「分かってる。真太郎が音を上げても、心を鬼にして実行するから安心してくれ」
「……私はそんなに流されやすくないらな」
「そんなこと言って、盛り上がってきたら誘ってくるだろ。目を潤ませて訴えられたら応えたくなるし……真太郎って誘い上手なんだよな」
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