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第2‐2話提案

「なっ……?! え、詠士が私をその気にさせるが上手いだけじゃないか。そもそも君は私に絡むと、すぐに色気を出してくるから困るんだ」 「色気? 俺が? 俺は素を出しているだけで、色気なんか出そうと思っていないからな。むしろ真太郎の色気のほうがすごいからな? 浴衣と相まって艶があるし、照れて伏し目がちになった時なんて――」  なぜか互いに目を逸らさず、褒めているのか批難しているのかよく分からない言葉を応酬し合う。  こういうのを痴話ゲンカと言うのか? いや、ケンカしている訳ではないから、なんとも変なやり取りだ。おかしなことをしているという自覚はあったが、詠士からの褒め爆弾にどうしても対抗してしまう。  しばらくして詠士が先に言葉を止め、吹き出して笑った。 「どれだけお互い惚れているかって競っても仕方がないな。どっちが上なんてもんじゃないのに」  詠士の話で思わずハッとなり、改めて並べ続けた言葉を思い返して私は頷く。 「ああ、確かに」 「……真太郎、そっちに行っていいか? 抱きしめたい」  唐突な懇願に私は目を見開く。それから睨むように細めて詠士の反応をうかがう。 「今日はもう終わりじゃないのか?」 「抱き締めるだけだ。それ以上は何もしないから」

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