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第4-1話数日かけた愛撫
◇ ◇ ◇
宣言通り、詠士は私に触れはするが、最後まではしなかった。
長い抱擁の後はもちろん、翌日も約束を守ってくれた。それについては有言実行してくれる詠士を嬉しく思う。
ただ、普段の行動もがらりと変わってしまい、戸惑ってしまう。
今までなら隙あらば人にキスをしたり、不意打ちで抱き着いてきたり、隣に座って身を寄せてきたり――とにかく私へ触れようとしていた。
なのに宣言以降は「我慢できなくなるから」と、日常のスキンシップがほぼ消えた。
その代わりに寝る時間を早めて、昼間にできなかった分を一気に施すかのように、たっぷりとキスと愛撫を与えてきた。
少しずつと言っていたいた通り、一日ずつ触れ合いの濃さを詠士は変えてくる。
宣言後の翌日は、軽いキスと時折柔らかく撫でるばかりの愛撫。
その翌日は、舌が浅く出入りしたり、唇を啄むようなキスが増え、愛撫の動きは大胆になった。
体が煽られて過剰に反応し、もっとその先を与えて欲しいと私の心は望んでしまう。
けれど詠士はもどかしがる私に気づいても、やり方を変えてくれなかった。
数日かけて焦らしているのだと分かった時には、もう何をされても嬌声を上げるような体へと変えられてしまっていた――。
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