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ペットじゃねえよ 9
どこの欧米人だよ! それも男同士で! 種族が違うなら同性でも気にならないってか!?
首を左右に大きく振って、力強く拒んでみせる。すると、こいつは落胆の言葉を口にした。
「そうか。残念だな」
「うわっ!?」
全く落ち込む様子のない声音を耳にして、俺はまたも悲鳴を上げた。いきなり視界がひっくり返り、後頭部を柔らかなベッドの上へと押しつけられたせいだった。
何度か瞬きを繰り返すと、真上にこいつの顔が現れる。
一瞬で背筋が凍るのがわかる。喉の奥から、「ヒュッ」と変な音が漏れた。
「上手くできたら、好きな餌をやろうと思っていたのに」
先ほどまでの優しげな笑みはどこへやら。こいつは本来の、性根の腐った意地悪い微笑へと貼り替えた。
腹の方は、盛大なイビキを掻いている。それで目が覚めたのだから当たり前だ。だからといって、こいつの言いなりになって飯を乞うくらいなら、腹の虫を鳴らし続けている方が何倍もマシだ。
「……くっ」
今から俺への「遊び」が始まる。決して逆らったからではない。俺が従順であっても、こいつはそうしていただろう。オークションで競り落とした時に言った、「可愛がってやる」は本気の言葉だった。
纏っていたシーツを剥ぎ取られると、一糸纏わない姿が露になった。
筋肉の鎧を纏う「魔王」とは雲泥の差の、モヤシのようなひょろっちい身体はどこからどう見ても美味そうではない。
しかしこいつは、自身の上唇を艶かしく舐めた。
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