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んじゃ、好きにさせてもらおうか 1

 屋敷へ戻ると、側近の鳥頭は滝のような涙を流して「魔王」……いや、マオを出迎えた。片腕が失くなっているんだから当然か。ちなみに、千切れた腕は回収してあり、回復魔法をかければ元通り引っつくらしい。しかしその為の魔力が今は少なく、屋敷の中にいる従者に頼んで治癒してもらうことになった。  ゴブリンも、身体を蹴飛ばされたダメージはあったものの、人間よりはよほど頑丈らしく、屋敷に着くなり仕事モードに入って元気に動き始めた。  真夜中だから俺を寝かせようと自室へグイグイ引っ張るゴブリンの頭をそっと撫でると、にっこり笑って俺の脚に抱きついた。  身体を屈めて、改めてゴブリンにごめんと謝ると、「いいよ」と今度は俺の頭を撫でてくれた。 「優しいだろう?」  マオが言うと、俺の両目からは涙が溢れた。  何を意固地になっていたんだろう? ドロドロと甘い蜜のような巣窟で、舐めたら最後と自分で自分を戒めていた。  社畜根性? 何言ってんだ。俺はもう社畜じゃない。ただの奴隷だ。  流され、流され、生きてきて……そこが甘い巣だったなら。蜜の中で溺れればいい。  俺はマオに、「ごめん」と謝った。マオは俺の肩を抱き寄せ、背中を撫でてくれた。

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