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【Ἔρως(Erōs)】① (*)

《2007/5 第2週 金曜日》 連休が終わって、再び学校に戻った。 連休は全く最悪だった。だからこそ実績を買ってもらえて寮があるこの学校に入れたことに安堵していた。 バスケはチームに入っているのでそっちで続ける予定ではあるものの、部活動は部活動で入らなければいけない。でも同じ競技で重ねてしまうと活動内容もスケジュールも被ってしまう。 噂を聞いて様々な球技の先輩方が見学に誘いに来てくれて、体験はさせてもらったが迷っていた。そろそろ申込期限も近づいている。あとは水泳と水球が合同で使っているプールの見学をして、週明けには決めてしまわないといけない。 放課後、見学を誘ってくれていた先輩を頼って、水に入る準備をしてプールに向かった。そこでその先輩は副部長であることも現場に行って初めて知った。 バスケをやってたなら体幹も脚力もあるだろうし、水泳そのものより水球でもいいのでは?と言い、その先輩は奥の方にある水球用のプールのほうに案内してくれた。 その時、プールサイドで声を張って指示を出している、眼鏡の年上の男性がいた。歳は30くらいだろうか。気になって観ていると、先輩から「うちのOBで体育大行った人、今は卒業してて引退して、うちに指導にきてる」と紹介された。 休憩時間に先輩から声をかけて、その人におれを紹介してくれた。 そのとき、他の部活では「是非うちでも活躍してほしい」というノリが多かったのに、その人は「バスケの活動に支障ない、無理のない程度でいいから顔を出さないか、そういう事情があるなら在籍だけでも歓迎するよ」と言ってくれた。 それきっかけで、見た目が真っ黒の短髪でスジ筋で、顔立ちも眉がはっきりして目が大きい鋭いやや重めの一重ですごく好みだったというのもあって、その人を一撃で好きになってしまった。 いつもなら見学を適当に切り上げて、寮の夕食の時間まで戻って自習なりするはずが、どうしても離れ難かった。寮に電話して見学で遅くなる旨を伝えて、終わりまでその人の側で見学し、手伝った。そして終了後、職員の入退出用の門の傍でおれはその人を待った。 門を出たところで待ち構えていたおれが声をかけると、驚きながらも労って頭を撫でてくれた。触れられたらもう、おれの体は率直に反応してしまってだめだった。制服に隠れてその反応をすぐに気づかれるようなことはなかったとは思う。でも、顔が紅潮していたことくらいは、薄明かりの下でもわかってしまったはずだ。 「佐藤さん、おれ、この部で絶対役に立てると思うんです、だから」 緊張して、ところどころつっかかりながら言うと、「入部します、よろしくおねがいしますってわざわざ言いに来たの?」と、さして身長差のないおれに近寄り、微笑んで、息も触れんばかりの距離に顔を近づけてきた。 「…おれと、つきあってもらえませんか…」 その人、佐藤さんは、その言葉に一瞬真顔に戻って顔を離した。 当たり前だけど、ガキにそんなこと言われたって困るよな。だめだったらそれでいい、勝手に好きでいるけどそれ以上何も望まなければいい、今まで通り。昔近所の兄ちゃんにかまってもらってたみたいに、図書室の先輩にかまってもらってたみたいに、謝って内緒にしてもらって、無難に付き合っていけばいいだけ。 「長谷くんだっけ、じゃあさ、ちょっとどっかで二人で話そうか」 門の中に戻り、おれを手招きする。 後をついていくと、プール横にある部活専用のロッカールームに案内された。施錠していた鍵を開け、おれを先に通して中に入ると、後ろ手で再び鍵を閉めた。 「長谷くんさ、おれと付き合いたいの?そういう目で見てたの?」 佐藤さんは腕組みしてまっすぐにおれを見ている。 「そういう目かどうかはうまく言えないです、でも佐藤さんのことかっこいいと思って」 おれも直立で、視線を逸らさずに返した。 「じゃあさ、うち入って腰据えてやってくれて、実績作ってくれるならいいよ。そのためにはおれの言うことは何でも聞いてもらうし、それでもいいならだけど。あと、おれらの関係絶対に誰にも口外しないって誓えるならだけど」 どうしよう、それは、チームでの立場も期待もあるからすぐには答えられない。でも、おれとしては正直、宗教から逃れるために運動に打ち込んで、それが評価されてこの学校に入って家から逃れられただけで僥倖で、今後続ける競技自体はなんでも良かった。何をやってもそこそこの成績を出す自信はあった。 「わかりました」 あまりにあっさり条件を飲んだことに佐藤さんはちょっと驚いていた、 「あ、いや、もちろんすぐに決めろとは言わないよ、することしてから決めていいよ」 することって? 「言ってることわかる?脱ぎなよ、全部」 鞄を床に置き、促されるまま脱いで、その上に投げ置く。 佐藤さんはウェアのトップスの裾を捲って、ボトムを下にずらした。半勃ちのものを見せて「長谷くんはタチウケどっちなの?おれ、どっちもできるよ」と囁いて微笑んだ。 目の前に曝け出された大人の性器に否応なく目が釘付けになる。 「あれ?まだ、したことない感じ?」 「ないです」 概ね脱ぎ終わって、あとは靴下だけというところで、佐藤さんは近づいてきて、すぐ後ろにあった合皮のベンチにおれを座らせた。 「それはそのままでいいよ」 右の手で後頭部を撫でながら、屹立した赤黒いものを振るっておれの顔を叩く。 「舐めな、自分がしてほしいようにやれば間違いないからさ」 おずおずと舌を伸ばし、先端の膨らみに唇を寄せて舐めてみる。性的な情報が与えられない環境で育って、自慰の仕方もそれで良いのかどうかも確かめる術がなかったおれには、人のものをどう扱ったら気持ちよくなってもらえるのかイメージできなかった。 自分が触ってて気持ちの良かった部分を少しずつ舐めていると、上から佐藤さんが唾液を自分の性器目掛けて垂らした。おれが舐めたところに落ちて唾液が混ざり合う。ものを口に含んで出し入れするように言ってまたおれの頭をそっと撫でる。 じゅぷ、と表面でぬめる唾液と空気が混じる音を立てながら、熱帯びた大人の性器が口腔内に侵入する。上顎に擦り付けるように進み、喉の狭くなったところまで突き入れられて軽くえづいた。構わず佐藤さんは腰を振って出し入れを繰り返した。 苦しくて佐藤さんの腿に手をかけると、おれの頭を撫でて「結構貪欲だなあ」と笑った。口から引き抜くとおれの頭を押さえたまま目の前で自分の手で扱いて甘い声を漏らした。やがて性器が伸縮しながら躍動しておれの顔に精液を発射した。 生暖かい、粉ものを溶いたような匂いのねっとりした液体が、頬から口元を伝い、ぼたぼたと落ちる。一部は飛び散って前髪まで汚した。その液体を指で拭い、舐め取るよう言われ、促されるままにすくっては口元に運ばれる精液を夢中で舐める。 「長谷くんいい子だな、おれの言うことちゃんと聞ける子だ」 そう言うと今度は佐藤さんがおれの足元に跪き、脚を開くよう言って、その間に顔をうずめた。そしておれのものを見て「長谷くん、ここ、先っぽ出てるよ」と言った。 「ああ、それ、割礼してるんですよ、親の宗教上の都合で。おれはやった時の記憶無いんですけど」 佐藤さんは、ふぅん、と言っておれの先端を唾液をたっぷり含んだ口に誘い入れ、舌で転がすように舐めながら音を立てて吸った。初めて味わう感覚に下半身が不随意に激しく振れ、声が漏れる。 構わず佐藤さんはおれのものにしゃぶりつきながら、筋張った部分や先端との境目を指で擽る。堪えきれず体を仰け反らせて膝や腿を震わせながら、声を上げて佐藤さんの口腔内に射精した。 放出されるものを受け止めきると、佐藤さんはおれのものから口を離し、おれが出した精液を口に溜めたのを、上を向いて口を開いてこちらに見せた。出し切ったはずなのに、再び生殖器官が中の方からひどく疼き、再びピクピクと先端が持ち上がる。 飲み込んで、消化器官に流し込まれ口腔内から無くなったのを見せられ、次はベンチの上に仰向けに脚を閉じて寝るよう指示された。膝から下を床に下ろし、仰向けでベンチに寝た。佐藤さんはベンチサイドに膝立ちになり、おれのものに唾液を垂らしてから数度しゃぶった。 そのあと、おれに背を向けて、おれごとベンチを跨いで、丁度おれの先端がある位置に腰を落とすと、尻の割れ目の奥の窪みにおれのものを押し当てた。濡れた先端が窄まった孔を押し拡げ、ゆっくりと温かいやわらかく狭いチューブの中に飲み込まれていく。 「長谷くん、おれで脱童しちゃったね。でかくてすげえいい、やっぱ若いと硬い」 突き当りまで導き、その上でさらにグリグリと奥に擦り付けるように腰を動かして佐藤さんは気持ちよさそうに声を出した。一旦そこから少しずつ引き抜くと、今度はベンチの上に上がり、再び背を向けたまましゃがむようにしておれのものを中に滑り込ませた。 脚力を使って容赦なく激しくスライドさせ、ときに根本まで飲み込ませ奥に打ち付けた。おれはあっという間に果てたが、佐藤さんはやめず、繰り返し繰り返し、おれのものが完全に萎えるまで続けた。 おれが体内で発射する度、佐藤さんは満足気に声を漏らし、おれの上で腰を振りながら自分の乳首をいじったり、自分のものを手で扱いたりして何度も射精していた。消耗しきって、意識が遠のいてウトウトしているおれを見て、やっと性器が引き抜いてくれた。 孔から、中に出した精液と排泄物が混じって濁った体液が溢れ出て滴っていた。 「よかったよ、週明けからよろしくな」 佐藤さんは自分の鞄から出したタオルや替えのインナーでそれを拭き取り、周囲に飛び散った体液や体についたものも拭き、おれに冷たいスポーツドリンクが入った水筒を出して口移しで飲ませてくれた。 「今度はおれが入れていいよな、処女くれるの楽しみにしてる」 啄むように何度もキスされて、頭を撫でられて、頭の中が真っ白で、体がふわふわして何も考えられなかった。 寮までは車で送ってくれたけど、帰り着いてからどうしたのか、今もよく思い出せない。

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