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第20話

 利休先輩はSNSをやらない。以前嫌な思いをしたことがあるそうで、スマホ自体苦手だそうだ。だから連絡は電話推奨だった。  と言っても、夏休みとはいえ部活があるので毎日学校で先輩には会えていた。そのため、今までに電話する必要性はなかったのだ。  明日部活を休むと一方的に告げて帰ってきてしまったことを、俺はいたく反省している。  一人置いて行かれて先輩は傷ついてはいないだろうか。  目の前でオナニーした俺の様子にドン引きしていないだろうか。  なにより俺の国宝級のでかさにビビってないだろうか。  俺とはエッチ出来ないなんて思い込んでないだろうか。  ともかく謝って宥めてすかして関係改善に努めようと思っているのだが、連絡手段のハードルの高さに躊躇してしまう。  それに、ひとこと言いたいと思うがなんと言ったらいいのかが分からない。  謝罪してそれから……。  かけても出てもらえないかもしれない。  出てくれてもすぐ切られたりしたらどうしよう。  らしくなく後ろ向きな思考に陥って、俺は部屋の中を無駄にウロウロした。  スマホを取り上げては置くの繰り返しで結局遅い時間になってしまい、連絡を取るのは断念する。  そのせいで、いい意味で俺は開き直れた。  明日素知らぬ顔で出て行っていつものように接すれば、先輩もそのまま流してくれるかもしれない。  なにしろオナニーなら先輩も以前してたじゃないか。俺はばっちり目撃してる。しかも野菜オナニーだった。ずっぽり後ろに入ってた。  衝撃度では先輩のほうが上だ。  今思い返してもまぶたの裏が熱くなる猥褻な光景。  ズボンを脱ぎ落として晒されていた真っ白い太もも。  曲げられた腰の最奥に突き立てられていたキュウリ。  蒸気した顔は素直な歓喜と淫猥さとにまみれ、俺は驚きとともに激しく欲情したのだ。  生きて来た中でも一番の衝撃映像だった。  今まで見て来たエロ画像なんて大したものに思えなくなったくらいだ。  俺はつくづくとため息をつく。  俺は先輩が好きだ。  先輩を抱きたい。  愛したい。  愛し合いたい。  しかし先行きはそう明るくはない気がする。  人間不信だけじゃなく、俺の息子のでかさもネックになるなんて。  俺が先輩を怯えさせてしまうなんて。 「利休先輩……」  その夜、俺はベッドの中で文字通り悶々とした時間を過ごし、明方までなかなか寝付けなかったのだ。
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