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第23話
「利休先輩、さっきの本気ですよね」
「え」
「俺の『ナス』触ってくれるって」
俺はジッパーをおろして下着の中からチンポをまさぐり出した。今はまだ平常時なのでそれほどでかくはない。先輩もさほど怯えず相対した。
「………」
興味津々らしく、そろそろと伸びる指先が俺の先端を突っついてくる。
まるで、得体のしれない生き物をこわごわ確かめるみたいな動き。
「こそばゆいっす。もっと大胆に握ってくれていいんですよ」
「いいの?」
「遠慮なくどうぞ……っつうか、ギュッとして欲しいです」
恋愛ドラマとかで『ギュッとして欲しい』っていう場面があるかと思うのだが、その場合は身体をギュッと抱きしめて欲しいという意味だろう。甘く初々しい恋人たちのワンシーン。ロマンティックな演出だ。
打って変わって、チンポをギュッと握って欲しいだなんて、あんまり赤裸々で生々しかった。
「行くよ」
勢いづけ、それでもまだおどおどした様子で先輩は俺の息子を握ってくれる。
「ああ……」
俺は思わず歓喜の声を漏らしていた。
温かい。
手のひらのぽってりとした感触もまたたまらない。
先輩らしく遠慮深い優しい愛撫だ。
ぶら下がっていた俺のチンポはみるみるうちに大きくなる。先輩の手のひらの中でぐんと勢いを増した。
「わっ……那須くん、やっぱり凄い!」
感嘆の声が上がる。
「大きいね」
先輩の視線は俺の股間に引き付けられていた。いくぶん頭を下げ前のめりで凝視している。
そんなに見られたらこっちも結構恥ずかしものだ。
「怖くないですか」
肝心の部分を確認する。ここで引かれたら先に進めない。俺はこの後のSEXもしっかり視野に入れていた。ただ先輩の様子によっちゃあ強引に敢行する訳にもいかない。なによりサイズの問題をどうやってクリアしたらいいのかが分からない。
少し小首をかしげ、先輩は考えるふうだった。
「ん……、でも那須くんのだから愛おしいよ」
なんて台詞だ。
俺は、俺の『ナス』も含めて俺が愛されていると、確信する。
幸せな気分だった。
「そのまま触ってて……。俺がイクまでお願いします」
切実な願いに先輩はほだされてくれる。
「うん、分かったよ」
素直に俺のものを握ってやわやわとした刺激をしてくれた。
気持ちいい。
こんなことまでしてもらえるなんて、俺たちの関係も進歩したものだ。俺は感動にむせび泣く。
「利休先輩、最高です。気持ちいい……」
自分の手とは違う趣の拙い愛撫に、俺の興奮はMAXだった。
知らず声が掠れる。
「先輩、いいっす。すげえ……いい」
先輩も興奮気味なのか、妙にテンション高く感想を述べてくる。
「那須くんの『ナス』は熱くて硬いよ。逞しいね」
言いながら少し強く握ってくれた。
「大きくてうらやましいよ」
そして『ほうっ』と熱っぽい息を吐く。
「憧れちゃうよ」
囁く先輩の眼が濡れて見えて、意外な変化に俺は驚く。
まさか欲情してくれてる?
しかし、それを確かめる前に俺のほうが激しくたかぶってしまい余裕がなくなった。
「先輩、手放してください。そろそろ出そうです」
放出の気配を申告する。
俺に指示されて先輩は手を放した。
実際のところ残念だが、フィニッシュは自分の手で受け止めて、先輩の手を汚さないようにしたかったのだ。
利休先輩はどこか無垢で純粋な感じがするから、欲望というものが似合わない気がする。俺の精液でそのかわいらしい手を汚すのは申し訳なかったのだ。
「でも」
否定形で言って、先輩はまた手を伸ばして来てくれる。
その態度は思いのほか男らしく凛々しかった。
「僕、那須くんを気持ちよくさせてあげたいんだ。最後までさせて」
言いざま温かい気配が俺の感覚器を再度押し包む。両手で刺激を与えられて俺の声はうわずった。
「あ、ありがとうございますっ」
解放の時は見えている。
「ほんとにいいっすか。汚しちまうと思うけど」
遠慮した台詞を聞いて、利休先輩は不思議そうに俺の顔を見上げた。
「いいよ。出して。汚れるなんて思わないよ。那須くんのなら大切だよ。僕の手で気持ちよくなってくれたら凄くうれしいよ」
凄くうれしいのはこっちのほうだ。
たまらず俺はうめき声をあげていた。
「くっ……」
潮が満ちるようにじわじわと快感が込み上げてくる。
「出る…う」
前は、先輩に背を向けて自分一人で寂しく抜いた。
今は共同作業だ。
たまらなく幸せだった。
放出の気配に、先輩の手も搾り取るような動きに変わる。
まさにマジックエンジェルハンド。俺の腰はあっさり抜けそうだ。
「利休先輩、先輩……」
「うん。那須くん」
「先輩好きっす。大好きっす……、っ、うああ!」
俺は際限なく熱い告白を繰り返しながら、幸せで満ち足りた絶頂を向かえていた。
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