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第32話

 体勢はさっきと同じだ。後ろから腰を捕まえて引いた。  目の前の白い尻にキスマークをつける。 「あ、」 「マジでかわいい尻してますよね」  ちゅっと音を立てて吸う。 「俺の所有印」  うれしくて堪らないのに少し複雑。  再びローションを使って先輩の尻の狭間を濡らす。  そしてナスを手に取った。そんなに太くはない。むしろ多少貧弱そうなのを選んでいた。それに、練習なのに俺より太かったら意味がないと思ったからだ。 「先輩、入れますから力抜いて」 「うん」  利休先輩のかわいらしい小穴にナスをあてがう。  細心の注意を払い、じれったいほどのスピードで挿入する力を加えた。 「ん、んん」  うめき声が漏れる。  やっぱ入れるところじゃないし、男同士じゃ無理があるんだよな。そう考えた時、意外なあっけなさでナスは肉を開いていた。思いのほかすんなりと入って行く。 「くぅ……」  それでも先輩の口からは辛そうなうめき声が零れていた。  あれ?あんまりよくなさそうな。 「利休先輩?」 「………」  俺はその異物を尻穴にさらに押し込んだ。 「あ、あん!」  甲高い声。いいところを刺激したのだろう。確かめるために先輩のチンポを弄るとやはり勃起していた。  熱い。 「先輩エッチだなぁ。中で感じるなんて」 「……や、やだぁ」  プルプル震えながら否定する姿がいじましい。  調べたところ後ろで感じるのは別におかしくないらしかった。前立腺を刺激されたら、男なら誰だって感じちまうとネットで勉強している。ナスにそこを擦られて反応してしまったのだ。恥ずかしがることもないだろうが、その仕組みをよく分かってない先輩には俺の言葉は耐えがたいのだろう。  体勢をかえて覗き込むと最愛の恋人は涙目になっていた。  かわいい。  場違いにも俺は胸をときめかす。  頬を染めた先輩の泣き顔は悩殺的にかわいかった。 「もっと感じて」  俺は慎ましやかな窄まりに、ナスのへたの一歩手前までを突き入れた。  白いお尻の震えは止まらない。 「けっこう入りましたよ。どうですか」 「う……う…ん」  覗き込むと、先輩は戸惑って目蓋をパチパチさせていた。背中は軽く反って汗が浮いている。  俺は背後から、ぽっちゃりとして柔らかな身体をかき抱いた。 「なんか、変」  自分から言い出したことなのに先輩は違和感を覚えているようだった。妙に納得できないというか、思っているのと違うというか……。 「那須くん、あ…ん………」  切羽詰まった声で先輩は言う。 「やっぱり僕……、はやく那須くんの……を………入れて欲しいよ」  物足らないと言ってくれてるのだろうか。  手の中でピクピクと震えるチンポ。俺はそっと力を加えた。途端に甘くいやらしい声が漏れる。 「あ、あ、あっ」  痙攣するように肩先が跳ねる。  俺は先輩のものを掴みながらふと考えた。  先輩だって男だ。後ろがどれだけいいかは俺には見当もつかないが、前を触られたらそりゃあ一番気持ちがいいだろう。  なのに俺は入れることにばかりに拘りすぎて、先輩を思いやってなかったんじゃないか。自分の欲望ばかり優先させていたんじゃないか。だからうまく行かなかったんじゃないか。  一回イかせてあげたら隙が出来て緊張が解けるに違いない。  先輩をリラックスさせてあげたい。  挿入はそれからだ。愛撫でとろとろに溶かしてあげてからだ。  俺の左手は小さなペニスを揉み上げた。  ローションに塗れた手で、これでもかという卑猥な動きを繰り返す。利き手ではないのに、以前から覚えがあるような的確な指技で翻弄した。 「それ、もう、ダメ…ッ」  放出してしまいそうだと、美味しそうな太ももが痙攣している。  右手に持ったままのナスをぐりっと回すと、先輩は前のめりになった。  前立腺をナスに擦られてどうにもならないといった風情だ。  先輩の腰が一瞬凄く引き締まる。そして、見て分かるほどに弛緩した。 「あ、あああ!………っ」  切なそうで甘い絶頂の響きをあげ、先輩は達していた。  いやらしい液体がシーツに滴る。  白い身体は前に突っ伏し力が抜けていた。  俺はその瞬間悟ったのだ。  挿入するなら今だ、と。  先輩の身体は放心しきって無防備な状態だった。  力も抜けている。  最適なタイミング。  俺は掴んでいたナスを憤然と引っ張り出した。 「う、うわっ」  突然の無造作な動きに先輩の腰がひくつく。 「すいませんっ!」  言いながら俺は行為を止めることが出来なくなっていた。  今が最大のチャンス。  それに利休先輩が高まり射精するという痴態を見て来た俺には、もう余裕が残されていなかったのだ。  今すぐ繋がりたい。  俺はナスのかわりに俺の息子をずずっと突き入れた。  先輩の中は柔らかく熱く狂おしい。これがパラダイスというものか。 「うっ、先輩……」  俺の声は自分で驚くほど切ない響きだった。  イッたばかりなので先輩の肉穴は抵抗が少ない。どこか不本意ながらも、ナスの練習の成果で確かに内部は入れやすくなったようだった。  ローションの効き目もあるし、先端は今までにした挑戦よりも簡単に入って行く。 「すっげぇ、気持ちいい……」  俺は息を吐きながら、汗の浮いている背中に感動の声を落とす。  そのまま深く己を沈めて行ける。  先輩という愛しい存在の中に溶けて行ける。  これなら最後まで出来ると確信した。 「な、那須くん、」  苦しそうな声。 「すんません……俺、もう止まらないっす……」  腰をカクカクさせながら先輩の身体を大きく揺さぶる。  波に翻弄されるような大胆な動き。 「先輩の中、超気持ちいいっす。もっと奥まで……入れさせて……」  かすれ声で懇願する俺に向けて、先輩は後ろに首をねじ向けて言った。 「入れて……僕も、那須くんが、欲し…い……」  身体を捩った拍子に尻肉がきつく締まる。 「ふ…おっ」  締め付けられたチンポの心地よさに、なんだか分からない声を俺は漏らしていた。  先輩ももう呻き声が止められないようで、泣きじゃくるように言葉を押し出している。 「あ、ああぁ…ん…っ……。いっ…ぱい欲しい。那須くん……、僕………壊れてもいい…から………もっと…………」  俺のを奥までぶち込まれて、辛いのは辛いのだろう。  でも俺には分かった。今のこれは痛いんじゃなくて感じている涙だ。気持ちよくて喘いでいるのだ。 「先輩……、全部、入りましたよ……」 「ん、んっ」  俺は先輩の尻たぶを両手で掴むとぐっと後ろに引いた。限界まで開いている尻穴がよじれてぐちゅっと卑猥な音を立てる。ローションの効果は大きかった。 「もう……堪んねえ。感動ですよ。……っ。ううっ……こんな、凄げぇ…の………」  俺はせっかちな腰使いで恋人を追い上げる。 「あ、だめ…ぇ…。あ、あ、あ……あん」  俺の性急な動きに追い立てられ先輩もいやらしい声を出していた。 「イっちゃう、……僕、また……イっちゃうよ………ダメ、こんなの」  自分の欲望を否定するような声のトーンに、俺は問いかけた。 「いやなんですか」 「だって……ぁあっ。……こんなに感じちゃうの、恥ずかしい……から……ぁ」 「いやらしくなっちゃってるからいやなんですか?」 「………」  先輩は言葉の代わりに身を竦め、その動きで無意識に俺のチンポを締め付ける。  おお、天国だ。  俺は乱れる息で先輩の理性を破壊し納得させる。 「いやらしいっ……てね。うっ……。恋人同士の間なら、きっと……誉め言葉なんですよ」  お尻さらけ出して、チンポギンギンにさせて、求めあって、恥ずかしいとこに性器を突っ込んで、突っ込まれて、精液でぐちゃぐちゃになって………。そんな姿、恋人意外に見せないだろ。見せあえるから恋人同士なんだろ。 「俺もいやらしいでしょ。おんなじですよ」  そろそろ限界。俺は息を詰めた。  再び動き出す。がっしりと腰を押さえ逃げられないように固定する。深いストロークで先輩を翻弄する。  性器を出し入れする動きに先輩は淫猥な鳴き声を上げた。 「あ、ああ……んっ!」  辛そうなのに甘い声。耳まで真っ赤だ。俺の愛撫に先輩が蕩けているのが分かってうれしかった。  激しい息を吸いながら俺は言う。 「は、はあっ……。先輩の中の……、イイとこに……当たってますか」  囁いた口を先輩の耳たぶに当てる。  唇で軽く挟んだ。 「あああああ!」  耳への愛撫と、体内をぐりぐりと刺激されただけで、先輩はまた精液を放っている。想像以上に感じやすい身体。 「もう、だめ…ぇ……。もう……死んじゃう」  儚い吐息で訴えられて俺は息を飲んだ。このまま締め付けられてたら、あんまり気持ちよすぎて俺だって死んじまうかもしれない。腹上死ってやつだ。そんなことになったら目も当てられない。俺たちの恋愛はまだ始まったばかりなのだから……。 「先輩…、大好き…です。愛して……ます」  俺のチンポは先輩の中で激しく震え、快楽の蜜をたっぷりと滴らせていた。

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