7 / 8

第7話

愛しい温もりを実感してると悠仁のジーンズのスマホが震えだした。 「もしもし。木村さん?・・・うん、見つけた。・・・うん・・・そうする。ありがとう。」 短い会社の先輩との会話の後ですぐにまたスマホが誰かと繋がる。 「もしもし?見つけたよ。約束だからね?後はよろしく。」 自分の言いたい事だけ言うと強制的に電話は切られた。 間近で悠仁を見つめると蕩けるような甘い笑顔が返って来て 思いもよらない言葉が囁かれた。 「蓮。今から神様に永遠を誓おう。んで、そのまま新婚旅行に行くよ。」 「・・・・・・・・・は?」 言葉の意味を理解してない僕を他所に悠仁に手を引かれ さっきまで跪いてた主の前に舞い戻る。 誰も居ない小さな教会。 僕達は向かい合って誓いを立てる。 「健やかなる時も、病める時も、例え遠くに離れててもずっと俺の事だけを愛する事を誓いますか?」 優しい眼差しに見つめられて僕はゆっくり頷いた。 「誓います。」 「私、永井 悠仁はこれから先、ずっと死ぬまで澤村 蓮だけを見つめて愛する事を誓います。」 微笑んで重なる唇。 これで契約成立。 誰も知らない僕と悠仁の誓い。 こんなに幸せでいいんだろいか? 素直じゃない僕は少しだけ不安になった。 「蓮。神様への誓いは絶対だからね。」 そう言って左手の薬指にその誓いの証の指輪が填められた。 これは僕達だけしか知らない絵空事。 それでも僕はこの薬指を見るだけで耐えられる気がする。 いつかまた貴方の隣で笑える日まで。 fin.

ともだちにシェアしよう!