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百舌鳥(もず)13 side楓

「ねぇ、コンクールの本選終わったらさ…二人でどこか遊びに行こうか?」 いつもの帰り道。 いつものように並んで歩く。 だけど。 今日からはいつもとは違う景色になったような気がした。 「う、うん…」 「どこ行きたい?楓の行きたいところへ行こうよ」 俺と春くんの距離は、いつもより少し近くて。 肩が触れるたびにドキドキして。 体温があがってく。 「ど、どこって…どこでも…」 「それは困るなぁ~、ちゃんと考えておいてよ。記念すべき、初デートなんだから」 「で、デートって…」 「ん?違うの?」 「ち、違わない、けど…」 春くんに見つめられるたびに、身体の芯が熱くなって。 くらくらする。 「…楓?どうかした?」 「え…?」 「なんか…あ、いや…なんでもない。ごめん」 春くんが、一瞬だけ不思議そうな顔をしたけど、すぐにまた笑顔に戻って。 「そうだ。旅行でもいいよ、一泊旅行。近場の温泉とかさ、二人でのんびり…なーんて、ちょっと気が早すぎるかな」 どこか照れたようにそう言ったところで、ちょうど家の前に着いてしまった。 「じゃあ、また明日」 「うん…また、ね」 「デート、どこいくかちゃんと考えておいてね?」 「う、うん。わかった」 差し出された手を、握り返すと。 春くんは周りをぐるっと見渡し、繋いだ手をぐいっと引き寄せて。 掠めるだけの、キスをする。 「じゃあねっ!バイバイっ!」 夜目でもわかるほど、真っ赤になって。 春くんは、振り返りもせずに駅の方へと駆け戻っていった。 「春くん…」 春くんが触れた唇をそっと指でなぞりながら、その姿が見えなくなるまで見送って。 ふわふわと、熱に浮かされたような身体を抱えながら、家に入る。 触れられた唇が、熱い… そのまま、奥のピアノの部屋へ向かおうとしたけど。 なんだか身体がおかしくて。 少し休んでからにしようと、二階にある自分の部屋へと足を向けた。 熱い… 身体の奥の方から、次々に熱が湧いてきて その熱が頭まで痺れさせてるような感覚 変なの… 舞い上がっちゃって 知恵熱でも出ちゃったかな…? 「っ…は、ぁっ…」 階段を一段登るたび、息が上がる。 今まで感じたことのない、甘い疼きのようなものが、背中を這い上がってくる。 「…ふ…ぅ…」 重たくなっていく身体を引き摺るようにして、なんとか部屋へと辿り着くと。 俺は制服を脱ぐこともせずに、ベッドへと倒れこんだ。 「…春、くん…」 彼の名を呼べば、胸の奥が震えて。 触れ合った感触を思い出せば、さらに熱があがる。 なに、これ… 「は、ぁ…春、く…」 息苦しくて。 熱くて。 身体がひどく疼いて。 勝手に動いた手が、ズボンのなかに入っていって。 いつの間にか、硬く勃ちあがっていたモノを、握った。 「っく…はぁっ…」 握り込んだまま、ゆるゆると動かすと。 また甘い疼きが身体中を駆け巡って。 「あっ…ぁぁっ…」 頭のなかに その人の面影を浮かべながら 俺はその行為に没頭していった
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