「蓮くん…欲しい…」 ただ、全てを押し流していくような激しい快楽だけが欲しくて。 ぎゅっとしがみついて、そう強請ると。 「…あぁ…」 蓮くんは、俺の腰を持ち上げて。 もう硬く張りつめた肉棒を、そこに押し当てた。 思わず、息を詰める。 直後、熱い塊がそこを押し広げるようにして中へ入ってきた。 「あぁぁぁっ…」 反射的に仰け反った背中を、強く引き寄せられて。 最奥まで、一気に貫かれる。 「んんっ…」 その首にぎゅっとしがみつき、身体のなかにある蓮くんの熱を感じてると。 火傷しそうに熱い舌が、首筋を舐めた。 「は、ぁっ…」 瞬間、甘い痺れが身体を貫いた。 舌は、生き物のようにそこを這う。 その度に、震えるような快感が、俺を包んでいく。 「あっ…ふ、ぁっ…もっと…」 執拗に這う舌は、少しずつ後ろへずれていって。 うなじの辺りを舐められると、ゾクゾクが大きくなった。 「ね、ぇっ…噛んでっ…」 考える間もなく、言葉が滑り落ちた。 「お願いっ…蓮くん…」 俺を 君だけのものにして 「…楓…」 蓮くんの声は、震えてた。 「お願い…」 抱き締めた腕に力を籠めると、うなじに歯が当たる感触。 息を、飲んだ。 だけど。 「…出来ない」 呻くように呟いて。 蓮くんは、うなじから唇を離し、俺をただ強く抱き締めた。 「いやっ…お願いっ…！」 「…ダメだ」 「ねぇ、蓮くんっ…」 「…ごめん…」 「どうしてっ…」 何度強請っても、蓮くんは首を縦に振らない。 どうして…？ だって俺は蓮くんのものだって 蓮くんだってわかってるでしょ…？ 「…ごめん…楓、ごめん…」 蓮くんは、ひどく苦しげな声で何度も謝って。 繋がったままの俺を持ち上げて、乱暴にラグへと押し倒した。 「あっ…あぁっ…」 間髪入れずに、激しいピストンが始まって。 擦れあった部分から、圧倒的な快感が生まれる。 「あ、ぁ、ぁっ…れん、くんっ…」 激しく揺さぶられ、最奥へとその塊を打ち付けられて。 その狂いそうな熱さに なにもかもが焼き尽くされる 他のことなんてどうでもよくなって 俺のなか 蓮くんでいっぱいになってく 「あぁっ…もっと…もっと、欲しいっ…」 「…っく…楓、締めすぎっ…」 「やぁっ…もっとぉ…」 もっと沈めて この快楽の泉の底まで そうしたら 俺は… 「楓っ…一緒にっ…」 「あぁぁっ…」 蓮くんの手が、また勃ちあがった俺のモノを握って。 突き上げるリズムに合わせて擦られると、射精感が一気に高まる。 「や、ぁっ…イク…イッちゃうっ…」 「…っ…あぁっ…イクッ…」 トドメを刺すように、最奥をガツンと突き上げられた瞬間、身体の中に熱いものが広がって。 俺も、また吐き出した。 「は…ぁっ…楓…」 乱れた息を吐きながら倒れこんできた蓮くんを、抱き締める。 「愛してるよ…」 首筋を舐められながら。 閉じた目蓋の裏に浮かんだのは、父さんの泣いてる顔だった。