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火食鳥(ひくいどり)20 side蓮
シャツを脱がせ、現れた白磁のような滑らかな肌に唇を這わせた。
「は…ぁっ…」
この一週間、何度も何度も抱いたけど。
楓の放つフェロモンに翻弄されて。
我を忘れ、ただひたすらに楓の奥に自分の欲を注ぎ込むことしか考えられなくて。
獣みたいな、乱暴なセックスしか出来なかった。
本当は、誰よりも愛おしいおまえを、大切に大切に抱いてやりたかったのに。
だから。
「楓…愛してる…」
俺は、この身体に渦巻く果てのない愛おしさを刻み付けるように。
指の先から二の腕、胸へと、いくつものキスを落とす。
その度に、楓は小さく震えて。
恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、唇を片手で覆った。
「声、聞かせてよ…」
「んんっ…む、りっ…」
「なんで…?」
「だっ…て…きこえちゃうっ…」
全身を薔薇色に染めながら、ふるふると小刻みに震える姿は。
ヒートに犯され、理性もなく乱れていた姿とは別人のようで。
また新たな愛おしさが生まれた
「じゃあ…これ」
俺は枕を手繰り寄せ、楓の両手に抱えさせると。
くるりとその身体をうつ伏せにした。
そのまま覆い被さって、その白い背中にも隈無くキスをする。
「ん、ふっ…」
楓は枕に顔を深く埋めて、身悶えた。
その反動で髪が揺れて、真っ白なうなじが現れる。
引き寄せられるように唇を寄せ、今はほんのりと甘い香りがするだけのその場所を舐めると。
「う…ぁっ…」
楓はぶるっと大きく震えた。
「蓮くんっ…噛んでっ…」
ゆっくりと振り向いた、潤んだ瞳が。
俺を誘う。
その深い漆黒の中に、引き込まれそうになって。
奥歯を噛み締めて、それを堪えた。
「…だめ…だよ…」
「…なんで…?」
本当は
今すぐにでも俺のものにしたい
でも
噛み痕が残ってしまえば
おまえがΩだということがみんなにバレてしまう
そうしたら
おまえの未来は………
「そんなのっ…もう、どうでもっ…」
「ダメだ」
「蓮くんっ…」
なぁ楓…
諦めるにはまだ早いだろ
だって俺には見えるんだ
おまえの翼は
まだ折れてなんかいない
まだ
あの空を自由に羽ばたける翼は
おまえの背中にちゃんとあるから
「…っ…蓮…く…」
「だから…今はまだ、噛まない…」
一生傍にいると誓った
だから
噛むことなんていつだってできるんだから
微かに歪んだ頬に、唇を寄せ。
同時に片手を腰骨に沿って前に滑らせて、硬く勃ちあがったモノを握った。
「ん、ぁっ…」
一瞬、背中を仰け反らせた楓は、また枕に顔を埋める。
「んっ…ん…んんっ…」
俺の手の動きに合わせて揺れる腰に、何度もキスをしながら。
少しずつ、擦るスピードを早めていく。
「はっ…ぁっ…んぅっ…」
とろりと、繋がる場所から蜜が溢れ出すのが見えて。
それを舌先で掬い取ると、びくんっと大きく震えた。
「蓮くん、だめっ…そんなとこ、汚い、からっ…」
制止するように伸びてきた手を捕らえ、指を絡めて。
「汚くなんか、ない。おまえは、綺麗だよ…」
その愛おしい身体にキスをし。
何度も溢れる蜜を舐め。
手のスピードをさらに上げて。
快楽の果てへと追い詰めていく。
「あっ、あぁっ…」
快感にぷるぷると震える楓は、淫らなことをしているのに決して穢れない真っ白な天使のようで。
誰よりも美しい
俺だけの天使
「だめっ…も、だめっ…」
「いいよ…イッて?楓…」
「やっ…ぁっ…蓮くん、イクッ…あぁっ…」
綺麗な弧を描いて背中を仰け反らせ、俺の手の中に熱い迸りを解き放った姿を。
脳裏に強く焼き付けた。
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