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花魁鳥(エトピリカ)13 side蓮

一度くらいじゃ、熱が収まることはなくて。 逆上せ気味の楓を浴室から出し、簡単に身体を拭いただけでベッドへと押し倒し。 狂ったように、その芳しい身体を貪った。 ベッドに強く縫い付けて組み敷き。 上に乗せて、下から激しく突き上げ。 うつぶせにして、後ろからベッドが軋むほど揺さぶって。 何度も何度も熱を注ぎ込んでも、身体中に渦巻く快楽の濁流は勢いを衰えることがない。 それは楓も同じようで。 尽きるほどに白い精を吐き出したのに、その茎が萎える気配はなかった。 「楓っ…楓…」 「蓮、くんっ…」 ただひたすらに、互いの名前を呼びあい。 ただひたすらに求めあう。 「蓮…く…す、きっ…あいして、るっ…」 嵐のような交わりのなかで、不意に楓がそう言って。 花のようなフェロモンの香りが、一気に濃くなった。 それに引きずられるように、猛烈な熱が身体の一番深いところから湧き出したのを感じる。 「ん、ぁっ…!」 限界まで膨らんでいたはずの肉棒が、さらに大きく膨らんだ。 その刺激に、楓がびくりと震えて。 不安げな眼差しを向ける。 「な、に…?」 「…ノットだ…」 「え…?」 αの生態の授業で 仕組みだけは習ったことがある Ωとのセックスの最中に αのぺニスの根元が瘤のように膨らんで 抜くことが出来なくなる そこから、5分から長ければ20分ほどの長い射精が始まり ありったけの精液を注ぎ込んで Ωを孕ませようとする それが、ノット だけどαとΩのセックスであれば必ず起きる現象というわけではなく むしろノットなんて起こらないセックスが殆どで 症例自体が少ないために その仕組みは未だ解明されてはいないと聞いていた それが今 起きている 「…ノット…?」 「あぁ…」 「それっ、て…」 「…俺たちが、運命の番だって証拠だ」 確信を込めてそう言葉にすると。 「…蓮くん…」 俺を見つめる欲情に濡れそぼった瞳に、薄らと涙が浮かぶ。 「…嬉しい…」 誰よりも美しくて愛おしい 俺だけのΩ 「愛してる、楓…俺の楓…」 零れ落ちた涙を唇で吸いとり、そのまま小さな果実のような唇に口づけると。 ぎゅっとしがみついてきた。 「俺も…愛してる…蓮くんだけ…」 いくつも涙を溢しながら、応えるように楓からキスをくれる。 その後頭部を強く抱え込んで、キスを深くしながら。 小刻みに腰を揺らした。 ただそれだけの動きなのに、感じたことのない強烈な快感が身体中を駆け巡って。 堪える間もなく、楓の奥に解き放った。 「んっ…んんっ…」 それを受け止め、ピクピクと震えながら吐き出した楓の飛沫が、俺の腹を濡らす。 「んっ…は…蓮くん、もっときて…」 「楓…」 「もっと…欲しい…」 蠢く内壁に誘われるように、限界まで滾るモノをねじ込んで、また射精する。 「あっ…あ、ぁ、ぁ…」 何度楓の中に解き放っても、満足することはなくて。 むしろ、解き放つごとに快感が増し、脳みその中枢がビリビリと痺れ、身体が震えた。 「あっ…蓮くんっ…れんっ…」 楓も恍惚とした表情で、俺が射精するのに合わせ、何度も熱い飛沫を撒き散らして。 噎せかえるような濃密な花の香りの中で、獣のように激しく求めあった。 どれくらいそうしていたのか。 吐き出した瞬間、爪先から頭の天辺まで強い電流のようなものが駆け抜けて、視界がホワイトアウトして。 次に視界が開けたときには、ようやく荒れ狂っていた欲望が収まっているのを感じた。 俺の下には、目を閉じ、いつの間にか意識を失ってしまった楓の姿。 「楓?大丈夫か?」 薄紅色に染まった頬を軽く叩いても、小さな呻き声を上げただけで。 すぐに規則的な呼吸を繰り返しながら、深い夢の中へと潜ってしまう。 でも、その口角は笑んでいるように少し上がっていて。 俺はホッと息を吐き、その柔らかい髪を撫でた。 ぎっちりと埋め込んでいた肉棒を引き抜くと、どろりと大量の精液が溢れ出てくる。 浴室へと運び、後処理をする間も楓が目を覚ますことはなくて。 身体を清め、再びベッドへ横たえて、自分もその横へと寝転んだ。 健やかな寝息をたてて眠る姿には、さっきまでの淫靡さは欠片も残っていなくて。 さながら、穢れを知らない天使のよう。 そっと抱き寄せると、無意識だろうに甘えるように頬を擦り寄せてきた。 その仕草に、愛おしさが身体の奥から沸き上がってくる。 俺だけのΩ もう二度と誰にも触れさせはしない 「…愛してるよ…」 その愛おしさを全て乗せた言葉を紡いで。 優しく狂おしい香りに包まれたまま、目を閉じた。

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