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小夜啼鳥(ナイチンゲール)16 side春海
ガクガクと震え続ける楓を抱き上げて、急いで階段を降り、階段下のオーナー部屋へ駆け込んだ。
中央に置いてあった本革のソファの上に楓を下ろし、部屋の壁際にあった冷蔵庫からなにか飲み物でも持ってこようと、その場を離れようとしたら。
燃えるように熱い手が、手首に触れる。
「いか…ない、で…」
力が入らないのか、指先だけをピクリと動かして。
「たす、けて…」
欲情に濡れて揺らめく瞳が、俺を捕らえた。
その瞳の壮絶なまでの艶かしさに、全身が粟立った。
「たすけて…お願い…」
「楓…」
心臓が、壊れるんじゃないかってくらいバクバクと音を立てて。
体温が急激に上昇するような錯覚に襲われる。
俺はβで、Ωのフェロモンには刺激されないはずなのに。
官能の大きな波が、俺を飲み込んでいく。
ヒートに侵されたΩを見るのは初めてじゃなかったけど。
こんな風になったことなんてなかった。
なんで…
「たすけて…苦しいっ…」
「楓っ…ごめん、俺はっ…」
「やだっ…お願い、欲しいっ…」
出来るものなら、俺が抱いてやりたい
俺の力で、ヒートを鎮めてやりたい
でも、俺じゃダメなんだ
βの俺じゃ…
俺が出来ることといったら…
「…ごめん」
低く、謝罪の言葉を紡いで。
黒いスラックスのベルトに手を掛け、緊張に強張る指をなんとか動かして、そろりとスラックスとアンダーパンツを脱がせてやった。
ぷるんと飛び出してきた肉棒は、もう硬く勃ちあがって、先端からは透明な先走りの露が溢れている。
「触る、ね…?」
目を合わせると、熱で浮かされ潤んだ瞳に喜びの色が浮かぶ。
大切な宝物に触れるような気持ちで、そっと掌で包み込むと。
魚が陸に打ち上げられたみたいに、びくんっと大きく震えた。
「あ、ぁぁっ…」
恐る恐る手を動かすと、もっととねだるように楓の腰が揺らめいた。
「やっ…もっとっ…もっと、強くっ…」
そのいやらしい動きに。
その妖しく煌めく瞳に。
目の前が真っ赤になるほどの興奮が、沸き上がる。
「っ…楓っ…!」
両足を抱え上げると、もうびしょびしょに濡れた後孔が現れた。
片手で前を扱きながら、そこへもう片方の指を這わせ、周りをくるくると撫でてみると。
もう待ちきれないとばかりに、入り口がヒクヒクと震える。
「ねぇ、いれてっ…もういれてっ…」
ぐいっとお尻を突き出されて。
指を一本差し込んでやると、ぐちゅっと湿った音とともに、するりと熱い粘膜に包まれた。
「あっ…あぁぁっ…」
自ら蠢きながら、俺の指を奥へ奥へと飲み込もうとする。
「楓っ…」
「もっとぉっ…ねぇっ、もっと欲しいのっ…」
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