164 / 566

小夜啼鳥(ナイチンゲール)16 side春海

ガクガクと震え続ける楓を抱き上げて、急いで階段を降り、階段下のオーナー部屋へ駆け込んだ。 中央に置いてあった本革のソファの上に楓を下ろし、部屋の壁際にあった冷蔵庫からなにか飲み物でも持ってこようと、その場を離れようとしたら。 燃えるように熱い手が、手首に触れる。 「いか…ない、で…」 力が入らないのか、指先だけをピクリと動かして。 「たす、けて…」 欲情に濡れて揺らめく瞳が、俺を捕らえた。 その瞳の壮絶なまでの艶かしさに、全身が粟立った。 「たすけて…お願い…」 「楓…」 心臓が、壊れるんじゃないかってくらいバクバクと音を立てて。 体温が急激に上昇するような錯覚に襲われる。 俺はβで、Ωのフェロモンには刺激されないはずなのに。 官能の大きな波が、俺を飲み込んでいく。 ヒートに侵されたΩを見るのは初めてじゃなかったけど。 こんな風になったことなんてなかった。 なんで… 「たすけて…苦しいっ…」 「楓っ…ごめん、俺はっ…」 「やだっ…お願い、欲しいっ…」 出来るものなら、俺が抱いてやりたい 俺の力で、ヒートを鎮めてやりたい でも、俺じゃダメなんだ βの俺じゃ… 俺が出来ることといったら… 「…ごめん」 低く、謝罪の言葉を紡いで。 黒いスラックスのベルトに手を掛け、緊張に強張る指をなんとか動かして、そろりとスラックスとアンダーパンツを脱がせてやった。 ぷるんと飛び出してきた肉棒は、もう硬く勃ちあがって、先端からは透明な先走りの露が溢れている。 「触る、ね…?」 目を合わせると、熱で浮かされ潤んだ瞳に喜びの色が浮かぶ。 大切な宝物に触れるような気持ちで、そっと掌で包み込むと。 魚が陸に打ち上げられたみたいに、びくんっと大きく震えた。 「あ、ぁぁっ…」 恐る恐る手を動かすと、もっととねだるように楓の腰が揺らめいた。 「やっ…もっとっ…もっと、強くっ…」 そのいやらしい動きに。 その妖しく煌めく瞳に。 目の前が真っ赤になるほどの興奮が、沸き上がる。 「っ…楓っ…!」 両足を抱え上げると、もうびしょびしょに濡れた後孔が現れた。 片手で前を扱きながら、そこへもう片方の指を這わせ、周りをくるくると撫でてみると。 もう待ちきれないとばかりに、入り口がヒクヒクと震える。 「ねぇ、いれてっ…もういれてっ…」 ぐいっとお尻を突き出されて。 指を一本差し込んでやると、ぐちゅっと湿った音とともに、するりと熱い粘膜に包まれた。 「あっ…あぁぁっ…」 自ら蠢きながら、俺の指を奥へ奥へと飲み込もうとする。 「楓っ…」 「もっとぉっ…ねぇっ、もっと欲しいのっ…」

ともだちにシェアしよう!