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大瑠璃(おおるり)4 side蓮
念のため、俺も抑制剤を飲んで。
楓を抱き上げ、寝室へと移動した。
「明かり、どうする?」
「…小さいの、つけといて…」
楓の答えに、俺は部屋の明かりは点けずに、ベッドサイドランプのスイッチを入れる。
暖かい色の小さな光が、楓を柔らかく照らしだした。
抱いたまま、ベッドに上り。
ヘッドボードに背中を預けて座った膝の上に、楓を向かい合わせに座らせ、さっきと同じように両手で頬を包み込んで目を合わせる。
瞬きすら惜しいとでも言うように、ただひたすらに俺を見つめる様子に、なんとなく今考えていることがわかるような気がして。
俺はぎゅっと楓の鼻を摘まむと、わざとニヤリと笑ってみせた。
「なんだよ、そんなにじっと見て。もしかして、俺がカッコよすぎて惚れ直してた?」
ふざけた台詞を口にすると、楓は目を真ん丸にして。
それから呆れたように眉間に深くシワを刻む。
「なにそれ。蓮くん、自惚れすぎ」
その瞬間、それまで楓を包み込んでいた緊張が、ほんの少し緩んだのを感じた。
「そう?俺は、楓がすごく綺麗で可愛いから、毎日惚れ直してるけど?」
「っ…そういうこと、言わなくていいからっ…」
「今日より明日、明日より明後日…もっともっと、楓のことを好きになる。他の人間なんて、目に入らないくらい」
「…蓮くん…」
「だから。俺のこと、もっと信じて?」
包んだ頬を指先で撫でてやると、目を伏せ、小さく頷き。
ゆっくりと、顔を近付けてきた。
触れた柔らかい唇は、一瞬で離れていく。
「もっと」
唇を突き出して強請ると、もう一度重なって。
でもまたすぐに離れる。
「もっと」
もどかしさに、堪えきれなくて。
頬に添えてた手を後頭部へ回し、強く引き寄せながらぶつけるように唇を重ねた。
楓は一瞬びくっと怯えたように震えたけど。
その咥内に舌を差し入れると、おずおずと自分のそれを絡めてくれる。
もう片方の腕を腰に回し、隙間なんてないように身体を密着させて。
最初は軽くのつもりだったのに、すぐに耐えきれなくなって激しく舌を絡めると、楓の腕もしがみつくように俺の背中に回ってきて。
息継ぎも出来ないほどの、激しいキスを交わした。
「んっ…はっ…ぁ…っ…」
時折、合わせた唇の隙間から漏れる艶かしい声に、ぞくぞくと興奮を煽られる。
唇を重ねたまま、楓のバスローブを脱がすと、楓も俺のバスローブに手を掛けて。
剥き出しになった素肌を合わせると、熱いものが身体の奥から溢れだしてくる。
「は…んっ…んっ…」
背中から俺の肩を掴んでいた楓の手が、するすると下がっていって。
ボクサーパンツの中に潜り込み、もう熱く滾りはじめている俺のペニスを優しく包み込んだ。
ゆるゆると扱かれると甘い痺れのような快感が生まれて。
じわじわと広がっていくそれに身を任せながら、俺も腰を支えていた手を、楓の下肢へと滑らせると。
なにも身につけていなかったそこには、俺と同じように硬く上を向いた小さなモノ。
それを握り込んで、上下に擦ってやると。
「んっ…あぁっ…」
唇を離し、仰け反って喘いだ。
その拍子に目の前に晒された首の白さに。
目眩がする。
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