267 / 566
大瑠璃(おおるり)6 side蓮
「んっ…ん…ぅんっ…も…だめ…」
俺の指を3本飲み込む頃には、そこは柔らかくほどけて。
溢れた愛蜜が、俺の腕を伝ってシーツをしとどに濡らした。
「は、やくっ…ほし、っ…蓮くん、の…お、ねがいっ…」
ぎゅうっとしがみついて俺を欲しがる甘えた声に、かろうじて繋ぎ止めている理性がぶっ飛びそうになる。
その華奢な身体を組み敷き、奥の奥まで突っ込んで、思うがままに蹂躙したい。
もう二度と他の誰も受け入れられないように、俺のことしか考えられないように、閉じ込めて、俺のカタチになるまで何度だって俺の精を注ぎ込みたい。
そんな獰猛な欲が沸き上がるのを、歯を食い縛って抑え込んだ。
今は、欲望のままに抱き潰すわけにはいかない。
「わかった。ちょっと待ってて。ゴム、取ってくるから」
沸騰しそうな脳みそを少しクールダウンさせようと、離れようとすると。
楓はびくっと大きく震えて。
俺の背中に回した腕に、さらに力を込め、俺の肩に強く顔を押し付ける。
「楓…?」
「…いらない…」
「え…?」
「ゴムとか…いらない…」
「いや、でも…」
「…できない、から…」
「え…?」
「…俺…もう…赤ちゃん…出来ない、から…だから、そんなの…いらない、から…」
最後は、消え入りそうな小さな声になって。
やがて、微かな啜り泣きが聞こえてきた。
「…楓…」
「…ごめ…なさい…」
啜り泣きは、程なく嗚咽へと変わる。
「やっ、ぱ…っ…むりっ…だよね…ぅぅっ…俺っ…蓮くんの、番に、なんてっ…っ、ぅ…なれ、ないっ…」
「楓…」
「おれっ…蓮くんの、赤ちゃん…産めない、からっ…ぅ…おれっ…やっぱりっ…」
「そんなのっ…関係ないっ!子どもなんて、どうだっていいんだよ!俺は、楓が側にいてくれれば、それだけでいいんだからっ…」
心からの言葉を口にするけど、楓はそれを拒絶するように激しく首を横に振った。
「こどものっ…産めない、出来損ないのΩ、なんてっ…蓮くんには、相応しくないっ…っ…蓮くんには、俺なんかより、もっと…ちゃんと、した人がっ…うぅぅっ…!」
「楓っ!?」
その時、ひゅうっと不自然な呼吸音が聞こえてきて。
楓の顔が、ぐにゃりと歪んだ。
発作だ…!
「うっ…う…っく…」
「待ってろ!薬、持ってくるからっ!」
喉を搔き毟りながら苦悶の表情で身悶える楓を、一旦ベッドに寝かせ。
リビングに置いてあった、処方されている薬を取りに走る。
冷蔵庫からペットボトルの水を取り出し、慌てて寝室へ戻ると。
「楓っっ!!」
苦痛に歪んだ表情のまま、楓はベッドの上で意識を失っていた。
ともだちにシェアしよう!