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大瑠璃(おおるり)21 side蓮

「蓮くん…蓮くんっ…」 涙で潤んだ瞳が、のめり込むような真っ直ぐさで俺を見つめる。 そこに、しっかりと俺の姿を映して。 「楓…俺がわかるか?」 「ん…うんっ…蓮くんっ…蓮くんっ…」 小さな子どものように何度も俺の名を呼びながら頷く楓が、狂おしいほどに愛おしくて。 思わずぎゅっと強く抱き締めると、確かな意思を持った腕が、同じように強く抱き締め返してきた。 「楓っ…楓…」 「蓮くん…蓮くんっ…」 互いの存在を確かめるように、何度も名前を呼び合って。 深いキスを交わす。 楓からは、またフェロモンが溢れだしたけれど、それはさっきまでの暴力的なまでのキツイ香りではなくて。 ふんわりと優しく俺を包み込むような柔らかいそれに代わったように、感じられた。 「蓮くん…本当に、蓮くんなんだね…」 「ああ」 「俺、今…蓮くんとひとつ、なんだよね…?」 「うん。わかるだろ?俺が今、楓の中にいること」 とん、と少しだけ腰を揺らして、存在を主張すると。 「あ、んっ…」 楓は小さな甘い声で、啼いて。 額と額をくっつけて、その星屑を集めたような瞳を間近で覗き込めば。 潤んだ瞳から、宝石のような涙が一粒、溢れた。 「どうしよ…苦しい…」 「えっ!?」 その涙とともに零れた、嬉しそうな表情とは裏腹な言葉に一瞬ドキッとしたけれど。 「こんな幸せな気持ち…初めてで…なんだか苦しいよ…」 続いた言葉に、どうしようもなく愛おしさが募る。 「もっとだよ…もっともっと、幸せにしてやる」 「蓮くん…」 「今までのヒートのことなんか、二度と思い出せないくらい、楓の中俺でいっぱいにしてやる」 溢れだす想いを乗せて、唇を重ねると。 楓は目を真ん丸にして。 それからすぐに、艶やかに微笑んだ。 「うん…俺の中、蓮くんでいっぱいにして」 「ああ。おまえをもう二度と、俺以外のαには触れさせない」 再び零れた涙を、唇で吸い取って。 強く強く抱き締めながら、一旦腰を引き。 突き刺す。 「あぁっ…」 仰け反って顕になった白い喉元に齧りつきながら、何度も貫くと。 楓のなかはうねって絡み付いてきて。 奥の、さらにもっと奥まで誘い込もうとする。 「楓っ…楓っ…」 「蓮くんっ…気持ちいいっ…」 俺と楓のフェロモンが混ざりあって。 今まで感じたことのない、圧倒的な快感を生み出して。 その波に、二人一緒に身を任せた。 「やっ…イク…イッちゃうっ…」 「あぁっ…俺も、イクっ…」 その瞬間、今まで触れたことのない楓の奥が、開いて。 俺はありったけの愛おしさを、その奥へと解き放った。

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