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白鷺(しらさぎ)11 side楓

小さくなっていたモヤモヤが また心の中を覆い尽くした 「はぁ…菊池さんの頼みじゃなきゃ、あんな落ち目のホテル、絶対関わりたくねぇのに…」 盛大な溜め息を吐いて、俺を抱く腕に力を籠める。 俺は、込み上げてくる言葉を必死に飲み込みながら、離れないように蓮くんにぎゅっとしがみついた。 あの人も、一緒に行くの? あの人のこと、どう思ってるの…? 頭の中で、見たこともないはずの蓮くんとあの人が並んで楽しそうに話している映像が、勝手に作り上げられて。 モヤモヤしたものが 真っ黒いドロドロしたものに変わっていく 「楓?どうした?」 嫌だ 行かないでよ あんな人と一緒に 遠いところへなんて行かないで あの人と話さないで あの人のことなんて見ないでよ 「楓?」 ああ嫌だ こんなこと思いたくない こんなわがまま 蓮くんを困らせるだけだもん ただでさえ いつも俺ばっかり甘やかしてもらってるから せめて蓮くんの重荷にはなりたくないのに 「楓ってば」 でも…… でもでもでもっ! やっぱり嫌なもんは嫌だもん! 「…ちょっと、顔見せて」 「っ、やっ…!」 蓮くんの手が、無理やり俺を引き剥がすから。 俺は慌てて両手で顔を隠した。 「…なんで、隠すの」 「だ、だってっ…」 俺、今、絶対ヒドイ顔してるもん! 「してないよ、そんな顔。楓は、いつだってめちゃくちゃ可愛い」 「そんなことっ…」 「だから、ちゃんと言いたいこと言ってみな?」 力ずくで顔を覆った手を外されて、目を覗き込まれて。 その黒翡翠みたいな瞳に、心の奥底まで覗かれてしまいそうで。 ぎゅっと目を瞑る。 「…こら。なんで隠すんだよ」 「なんでもないもん」 「ふーん…わかった」 最後の「わかった」のトーンが、突然低くなって。 心臓がどきっと嫌な感じで跳ねた次の瞬間、俺の身体はソファに押し倒された。 「あっ…」 「素直に話さないなら、身体に聞いてやるよ」 滅多に聞かない低い声に、驚いて目を開くと。 その声とは裏腹に、なぜか蓮くんは楽しそうな笑顔を浮かべて俺を見下ろしている。 「か、からだ、って…」 「さて、どこまで我慢できるのかなぁ?」 そう言って。 抵抗する間も与えずに、俺のズボンと下着を一気に脱がせた。 「ちょっ…!?」 慌てて閉じた足を力任せに開かれて。 足の間に蓮くんが身体を滑り込ませてくる。 「やっ…」 太股を掴まれて、これ以上無理ってくらい、大きく開かされて。 隠すものがなくなったそこを、視姦するようにじっと見つめられて。 羞恥に、身体が発火したみたいに熱くなった。 「や、やめて、蓮くんっ…」 「なんで?」 「だって…恥ずかしっ…」 「そんなの、今更じゃん。それに…ちょっと勃ってるし」 「ええっ!?」 その言葉にびっくりして、首だけ起こして見てみれば、ぴょこっと上を向きかけてるソイツが目に入る。 なんで!? 「期待、しちゃった?」 「し、してないっ!」 「ホント?」 「ホントだもん!」 「ふーん…」 蓮くんは、ちょっぴり意地悪そうにニヤリと唇の端を上げて。 期待するようにムクムク大きくなる俺のを、パクッと咥えた。 「あぁっ…」

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