329 / 566

白鷺(しらさぎ)12 side楓

「蓮、くっ…も、やだぁっ…」 絶妙な力加減で、あっという間に追い詰められて。 でも、イキそうになると、根本をぎゅっと掴まれて。 イキたいのに、イかせてもらえなくって。 もどかしさに、頭がおかしくなりそうだった。 「もうイキたい?」 「んっ…イキ、たいっ…イかせてぇっ…」 もう、それしか考えられなくて。 「じゃあ、なんで拗ねてたのか、教えるか?」 「ん、ぅんっ…おしえる、からぁっ…だからっ…イかせてよぉっ…」 蓮くんの言葉に、何度も頷くと。 「りょーかい」 楽しげな言葉が降ってた直後に熱い粘膜に包まれ、じゅうっと強く先っぽを吸われて。 「やっ、イクぅっ…」 爆発寸前だった熱い欲を、蓮くんの口の中に解き放った。 「…ぁっ…ん、っ…」 「楓…めちゃめちゃ可愛い」 放出の余韻にびくびくと震える身体を、蓮くんが優しく抱き締めてくれる。 たったそれだけで、さっきまでドロドロに渦巻いていたはずの真っ黒いモノは、綺麗に流れていって。 「…蓮くん…大好き…」 代わりに溢れだしたあったかくて優しいモノに身を委ねながら、蓮くんを抱き締め返した。 「俺も、楓のことが大好きだよ」 蓮くんも蕩けるような声でそう言って、頬に何度もキスしてくれる。 なのに。 「で?さっき拗ねてた理由は、なんだった?」 唐突に、冷静な声で訊ねられた。 「…今?」 「うん。約束だろ?イかせてやったんだから、ちゃんと教えて」 「えーっ…」 俺、下半身丸出しだし なにも、こんな状態で聞かなくても… 「かーえーで」 渋ってると、ひょいっと身体を持ち上げられて。 蓮くんの膝の上に乗せられる。 「ほら、早く」 ごりっと、蓮くんの硬いものをお尻に押し付けられて。 「ちょっ…」 また、身体が熱を持つ。 「教えてくれたら、気ぃ失うまで可愛がってあげる」 グリグリと、煽るように硬いもので擦られると。 じわっと熱い蜜が溢れ、蓮くんのスラックスを濡らした。 「…欲しくないの?」 「…欲しい」 「だったら」 「…うーっ…」 表情を見られないように、蓮くんの肩に顔を押し当て、ぎゅっと抱きつく。 蓮くんの手が、背中を優しく擦ってくれて。 仕方なく、覚悟を決めた。 「…旅行…あの人と…行くの…?」 「は…?」 「あの人と…ずっと一緒なの…?」 「あの人って?」 「…ま、まり、か…さん…」 「え?なんで、羽生さんのこと…」 蓮くんは、驚いた声で一度言葉を切って。 しばらくの沈黙のあと、ポンポンと宥めるように背中を叩く。 「…旅行じゃねぇよ。仕事」 「でもっ…」 「それに、二人でもない。飛行機は別だし、一緒に行く別のスタッフもいるし、向こうも父親がいる」 「…うん」 「二人だけには、絶対ならない。約束する」 「…うん…」 「それでも嫌なんだったら、出張止める」 「えっ!?」 ぐずぐず返事してると、あっさりと蓮くんがそう言って。 俺はびっくりして、埋めてた肩から顔を上げた。 「…え…?」 間近で見た蓮くんの表情は。 「なんで…?」 見たこともないくらい、デレデレに崩れてた。 「やべ…おまえが嫉妬してんの、すごい可愛い…」

ともだちにシェアしよう!