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白鷺(しらさぎ)17 side蓮

ドアをぶち破る勢いで、開けると。 もう既に玄関にまで楓のフェロモンが充満していて。 ぐらりと目眩がした。 やっぱり…! 「楓っ…!」 靴を脱ぐのももどかしく。 濃厚なフェロモンに当てられて、あっという間に熱くなる身体を宥めながら、リビングへ飛び込み。 荷物を適当に投げ捨てて、その奥のベッドルームのドアを開く。 「楓っ…え?」 飛び込んだ先、ベッドの上には。 こんもりと山積みになった俺の服、服、服… Tシャツやジーパン、トレーナーにスーツ、ネクタイ、果てにはバスタオルまで積まれていて。 その中に埋もれるように、楓の色素の薄い髪が見えた。 「これ、は…」 まさか 噂に聞く『巣作り』ってやつか!? 急いでベッドへ駆け寄り、山になってる服を掻き分けると。 中心から俺のワイシャツだけを身に纏った楓が、俺の部屋着のトレーナーをしっかりと胸に抱き締めて、涙でぐちゃぐちゃの顔と体液でぐしょぐしょの身体で眠っていた。 素早く身体中をチェックすると、新しい傷なんかは何処にもなくて。 安堵感にほっと息を吐くと、とめどもない愛おしさが溢れてくる。 ヒートは苦しかっただろうけど 俺の匂いに包まれて 前よりは少し落ち着いて過ごせたんだろうか…? だったらいいんだけど… 「楓…ただいま…」 温かな愛おしさを胸に抱き、熱く昂る身体を宥めつつ。 いつものヒートの時に見せる苦しそうな寝顔とは違い、穏やかな寝息を立てる楓の髪をそっと撫でてやると。 長い睫がふるりと震えた。 「う…ん……れん、くん…?」 ゆっくりと持ち上がった目蓋の下から現れた、濡れた黒曜石のような瞳が俺を捉えて。 楓が掠れた声で俺を呼ぶ。 「ああ。ごめん、遅くなって」 「おそいよぉっ…」 謝ると、小さくそう叫んで。 ガバッと勢いよく起き上がり、強く俺に抱きついてくる。 「蓮くん…蓮くんっ…」 「ごめん。ひとりにしてごめんな?」 抱き締め返した楓の身体は、すごく熱かった。 「巣作り、してくれてたのか?」 「ん…でも、あんまりうまくいかなくてっ…おれっ…はじめて、だからっ…」 ぐずぐずと子どもみたいに泣きながら、ぎゅうぎゅうしがみついてくるのが、狂おしいほど愛おしい。 「そんなことないよ。すごく上手に出来てるよ」 「ホント…?」 「うん。嬉しかったよ」 頭を撫でて、おでこにキスをすると。 泣きながらも、少しだけ笑顔になる。 「でも…これじゃたりないの…蓮くんがほしいの…」 「うん、わかってる。3日間、一人でよく頑張ったな。いっぱい気持ちよくしてあげるから」 「うんっ…」 服を脱ぐために、楓を一度離してベッドへ寝かせると。 さっきまで抱き締めていた俺のトレーナーを掴んで、くんくんと匂いを嗅ぎながら、とろんと物欲しそうな顔で俺に向かって両足を広げ。 もうぐずぐずに蕩けたソコに自分で指を突っ込んで、自分でかき混ぜ始めた。 「んっ…んんぅっ…」 その見たこともない淫靡な姿に、身体の奥から圧倒的で獰猛な欲が沸き上がってくる。 「…っ、こら、あんま煽んなよっ…」 「だぁってぇっ…も、がまんできないもんっ…」 ぐちゅぐちゅと、指が抜き差しされるたびに部屋に響く卑猥な音が、激しい興奮を掻き立てて。 「はやくぅっ…はやく、蓮くんのあついの、ここにちょうだいっ…」 「ああっ…」 ボタンが弾け飛ぶのを気にする余裕すらなく、着ていたスーツを脱ぎ捨てると。 もう痛いほどに膨れ上がったペニスを、止めどなく蜜を滴らせるそこへと、一気に突き入れた。

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