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大水薙鳥(オオミズナギドリ)8 side蓮
「はっ…ぁ…ぁっ…あんっ…」
川のせせらぎだけが聞こえる静寂のなかに、楓の艶かしい嬌声と、自分の乱れた呼吸の音が途切れ途切れに響く。
普段なら交わるはずのない音がごちゃ混ぜになった空間は、すごく清冽なのに、ひどく淫靡で。
いつもよりも大きな快感が、身体中を渦巻いた。
「…っ…楓っ…いい…?」
「んっ…あっ…あぁっ…いいっ…」
うなじを甘噛みしながら、奥を何度も突き上げ。
指先が白くなるほどに風呂の縁を掴んだ手を、強く握ると。
ふるふると震えながら、握り返してくる。
「あっ、ぁっ…あつ、いっ…」
滑らかな肌は、いつもより赤く染まり。
唇を這わせるたびに、びくびくと小さく震えた。
楓の中は、いつもよりも何倍も熱く。
俺を咥えこんでいる内壁が、ぎゅうぎゅうときつく締め付けてくる。
「はっ、ぁっ…も、イキそっ…」
「あぁ…俺も、ヤバいっ…」
俺も、限界はすぐそこで。
一緒に絶頂を迎えようと、腰を掴んだ手を前に回して、再び勃ちあがった楓のを握りこみ、何度か擦ると。
「あぁっ、蓮くん、ダメぇっ…」
赤く染まった背中が、ぐぐっと反り。
綺麗な曲線を描いた瞬間。
手の中のペニスが膨らんで、お湯の中に白いものが広がった。
「うぅっ…」
同時に来た、痛いほどの締め付けに。
楓の中に全てを解き放つ。
その瞬間
俺と楓の境界線がなくなって
一つになれた気がした
「ぁっ…ぁ…んぅっ…」
恍惚とした充足感に包まれながら、何度か吐き出すと、そのたびに楓はぴくぴくと震えて。
「ん、っ…」
最後にぴくんっと大きく震えると、俺の腕にぐったりと力なく身体を傾けてきた。
「えっ…楓っ!?」
驚いて顔を覗き込むと、その顔は真っ赤で。
薄く開いた唇は、浅い呼吸を繰り返している。
ヤバい!
逆上せたんだ!!
慌てて中に出したものを掻き出して、風呂から引き上げ、部屋の中へと運んだ。
ベッドの掛け布団を足で蹴り上げ、バスタオルを引いた上に楓を寝かせて。
部屋に備え付けの冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して、口移しで飲ませる。
「楓っ、大丈夫かっ!?」
少し呼吸が落ち着いてきたのを見計らって、ぺしぺしと頬を軽く叩くと、薄く目を開いて。
「れ…く、の…ばか…」
掠れた声で、文句を言った。
「う…ごめん」
「もう…あんなにお湯汚して…もう入れないじゃん…」
「いや、掛け流しだったから、すぐにお湯は入れ替わるだろ」
「…っ、そういう問題じゃ、ないし…っていうか、そもそも俺、ゆっくりお風呂に浸かりたいって言ったのに…」
「でも、気持ちよかっただろ?すごい、いい声で啼いてたじゃん」
少し口調がしっかりしてきたから、ほっと心が緩んで。
うっかり、口が滑ってしまい。
「っ…蓮くんの、ばかっ!もう、今日はエッチしないからっ!」
「えっ!?なんで!?」
「しらないっ!」
怒った楓は、布団を頭から被ってしまった。
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