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鶺鴒(セキレイ)28 side楓

「あ…ぁっ…れん、くっ…やだっ…」 おでこ、目蓋、目尻、鼻の頭。 頬、耳、顎。 うなじ、首筋、肩。 二の腕、肘、手首、指先。 胸、脇の下、お腹、おへそ。 背中、腰、お尻。 「んんっ…れんっ…」 足の付け根、太もも、膝裏、足首。 そして足の指まで。 「はっ…ぁぁっ…」 俺の身体、蓮くんの唇が触れてない部分なんてないくらい、時間をかけて身体中キスの雨に打たれて。 羞恥で顔から…ううん、身体全部から火が出るんじゃないかって思った。 「…っ…も、いい、からぁっ…」 「駄目。楓の全部、俺のものだって、ちゃんと印つけとかないと」 内腿の付け根、敏感な部分を強く吸われて、ぞくぞくっと身体が震える。 とろりと熱い蜜が溢れ、それがお尻の窪みを伝って、シーツに溢れたのを感じた。 「じゃあ…ちょうだい…?」 「楓…?」 身体中にキスしたくせに、肝心なとこには触れてくれなくて。 もう、我慢できない。 「ここに…ほしい、の…」 焦れる心と身体に突き動かされるまま。 俺はうつ伏せになって、腰を高く掲げ、お尻を蓮くんへと向ける。 「俺の…からだの一番ふかいとこ…蓮くんの、しるし…つけて…?」 恥ずかしさに、枕に顔を押し付けながら小さな声で誘うと。 燃えるような熱い手が、強く腰を掴んで。 「っ…バカっ…」 切羽詰まった叫びが聞こえた、次の瞬間。 蓮くんの熱くて硬いのが、俺の奥に一気に押し入ってきて。 「んっ、あぁぁっ…!」 鋭い電流のような快感が、身体を突き抜けた。 蓮くんの強い腕が、俺を強く抱き締める。 「っ…あんま、煽んなって…どうなっても知らねぇぞ…?」 はぁはぁと獣のような荒い息遣いで、耳元でそう言われて。 身体が、震えた。 「…いい…」 「え?」 「ひどく、してもいい…蓮くんの、思うままにしていいから…」 俺は、蓮くんのものだから 蓮くんがくれるものなら、どんなでもいいから… 蓮くんの本当の気持ち、全部俺にぶつけて欲しい そう呟くと。 ふっ、と小さく息を吐くのが聞こえて。 「…バカ。酷くなんて、出来るわけねぇだろ。俺の命より大切な、おまえに」 「…蓮くん…」 「どろどろに、甘やかして」 みっちりと埋め込まれていたのが、抜けるギリギリまで引かれて。 「あっ…いやっ…」 「優しくする」 次の瞬間、とんっとまた奥まで押し込まれた。 「あぁっ…」 「誰よりも、大切にする」 「んんっ…あっ…」 「楓…俺の、世界に一人だけの大切な番…」 「れん、くっ…」 「もう二度と、離さない」 「っん…は、ぁっ…」 「他の男になんて、絶対に渡さないから」 「あぁぁっ…」 蓮くんが奥を突くのと同時に、楔のように蓮くんの思いが注がれて。 その熱さが、俺を縛り上げてく。 そのことが、嬉しくて。 自分が蓮くんのものなんだって、蓮くんの言葉で何度も刻み込んでくれるのが嬉しくて。 目の奥がじわりと熱くなった。 あの頃は こんな日が来るなんて夢にも思わなかったから… 「…っ…う、んっ…もう、離さないで…」 刻み付けて もっと強く 何度だって 俺はあなたのものなんだって 「死んでも、離さない。愛してる…」 「俺も、愛してる…ねぇ、もっとして…?」 「ああ…」 蓮くんは、熱く激しく、でもすごく優しく、俺の中をかき混ぜ。 「あ、ぁ、ぁっ…」 蓮くんの与えてくれる快感で、爪先まで満たされて。 「…っ…楓っ…一緒、にっ…」 もう爆ぜそうに張り詰めたモノを握られ、擦られて、一気に絶頂へと押し上げられる。 「あ、だめっ…も…イクっ…んっ…あーーーっ…」 瞬間、頭の中が真っ白にスパークして。 俺の一番深いところに、蓮くんの証が強く深く刻み込まれた。 「れん、く…すき…」 「俺も愛してるよ、楓」 そのままきつく抱き合って、快楽の余韻に身を任せていると、ふわふわと意識が朧気になっていく。 「…え?楓!?ちょっ…このまま寝る気か!?」 蓮くんの声も、遠くなっていって。 「…ま、いっか。今日は気を張って疲れたよな。おやすみ、楓…」 温かい手が髪を撫でるのを感じながら、俺はひどく幸せな微睡みの中に、とぷんと沈んだ。

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