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番外編 Robin(ロビン)2 side蓮

「…く…れ…くん…蓮くんってば」 ゆらゆらと優しく体を揺らされて。 重い目蓋を開けた。 視界に飛び込んできたのは、あの頃の愛らしい面影は残しつつも、洗練された美しさを放つ今の楓の姿。 …夢、か… あれは… まだ楓がうちに来て間もない頃だったか… 「ごめんね、起こして。でもこんなところで寝てたら風邪引くから、ベッドに行った方がいいと思って」 「ああ…ごめん」 うたた寝していたソファから体を起こすと、あちこちの関節がギシギシと軋んで。 両手を上げて体を伸ばす俺を、楓は側で心配そうに見つめている。 「大丈夫?蓮くんがうたた寝なんて、よっぽどじゃん。仕事、大変なの?」 「大丈夫だよ。この間のゴタゴタで、まだ少しバタついてるだけ」 上に伸ばした腕を楓の首にかけて、抱き寄せ。 触れるだけのキスをして微笑んで見せたけど、ますます眉間の皺を深めた。 「この間の、って…キングスホテルの…?やっぱり、俺が…」 「違うって。あれで、昔の縁を使っちゃったから、それでまぁいろいろと頼まれ事とかあって、そっちを片付けてるだけ。あの女のことはとっくにカタがついてるから、楓はなにも心配する必要はないよ」 「…ほんと?」 「ああ」 指先で皺を伸ばしてやると、ようやくほんの少しだけ表情を緩めて。 「蓮くんがみんなに必要とされてるのはわかってるけど…あんまり無理しないでね」 小さな声で言って、ぎゅっと俺に抱きついてきた姿に、愛おしさが込み上げる。 「わかってる。じゃあ、今日はもう寝ようかな。ベッドに連れてってくれる?」 ふんわりと優しく抱き締めながら、少し甘えた声でそう強請ってみると。 驚いたように目を見開いて、それから嬉しそうに目を細めて微笑んだ。 「うん」 手を握り、俺に先立って寝室へ向かって歩き出した楓の色素の薄い柔らかそうな髪を見つめながら、またさっきの夢のことを思い出す。 そういえば… あの後のクリスマスはどうしたんだっけ…? 「…蓮くん?どうかした?」 記憶の糸を手繰り寄せながらベッドに腰を下ろすと、楓は不思議そうに首を傾げた。 「なんでもない。ほら、おいで」 それには答えずに両手を広げると、少し照れたように視線を外しながら、おずおずと腕の中に身を寄せる。 そのままベッドに二人で転がって、布団を被った。 「おやすみ、蓮くん」 「ああ。おやすみ」 ああ、そうだ クリスマスの数日前に楓がインフルエンザに罹って 結局なにも出来なかったんだっけ その次の年からは 俺はお父さんに連れられてあちこちのクリスマスパーティーに顔を出すようになったから… 結局あのときの約束は一度も果たしてないんだよな… 「…ちょっと!どこ触ってんの!」 「ん?胸?」 「寝るんじゃなかったの!?」 「寝るよ、そのうち」 「もうっ!今日はダメっ!すぐに寝なさい!」 ピシリと乳首を弄ってた俺の手を叩き落とし、怒った顔でくるりと寝返りを打って背中を向けた可愛い楓をもう一度腕の中に引き寄せて。 「わかったよ。おやすみ、楓」 「…おやすみ、蓮くん」 その甘い香りに包まれながら、目を閉じた。 今年こそは……

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