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番外編 朱嘴鸛(シュバシコウ)2 side蓮

「こらっ!こっち来なさい!」 「ふにゃーーっ!」 楓が、凪を俺の腕から取り上げようとすると。 凪はぎゅっと強く俺にしがみついて大声で泣き出して。 「もうっ…おまえたちを抱っこしてたら、蓮くんがご飯食べられないでしょ!」 「ふにゃーーっ!ふにゃーーっ!」 「ふぎゃーーっ!」 楓の怒った声にびびったのか、凪の泣き声につられたのか。 櫂も俺にしがみついて泣き出した。 「いいよ、無理に引き離さなくても」 「でもさっ…蓮くん、仕事で疲れてるのに…」 「いいから。子どもたちは俺が抱っこしてるから、今のうちに食べろよ。楓だって、夕飯まだだろ?」 「でも…」 「ほら。温かいうちに、早く」 ぐずぐず泣いてる凪と櫂を膝に抱え、背中を擦ってあやしながら不満げに口を尖らせる楓を促すと。 「う、ん…ごめんね。じゃあ…」 しぶしぶ頷いて、キッチンから自分の分の夕食を運び、向かい側に腰を下ろす。 「いただきます。ごめんね、蓮くん。急いで食べるから」 「急がなくていいって。ゆっくり食べて…っていうか、それだけ?少なくないか?」 俺に謝りつつ箸を持ち上げた楓の前にあるのはサラダと、俺に用意された量の1/3ほどのご飯とシチュー。 「うーん…なんか、さっきから少しだけ熱っぽくてさ。あんまり食欲ないっていうか…」 思わず眉を潜めてしまった俺に、楓は困ったように薄く笑った。 「疲れてるんだろ。一日中チビ達の世話だもんな。明日俺、休みとってチビ達見てようか?」 「ううん、大丈夫。いつも仕事休みの日には子どもたちの世話して俺を休ませてくれてるんだから、そこまで甘えられないよ」 「そんなの甘えに入らないって。俺たち二人の子どもなんだから、二人で育てるのは当たり前だろ?」 「でも、蓮くんだって毎日仕事で疲れてるんだしさ…」 「俺がタフなのは、楓が一番よく知ってるだろ。俺が疲れでダウンしてるとこ、見たことあるか?」 「…ない。っていうか、風邪とかも引いたとこあんまり見たことないんだけど…タフ過ぎない?」 「まぁ、生まれつき丈夫なんだろうな」 「羨ましいなぁ」 会話を交わしながらも、あまり食は進まないようで。 スプーンの先にほんの少しだけ掬ったシチューを何度か口に運ぶと、スプーンを置いてしまう。 本当は休んでやりたいんだけど… そうするとまた変に遠慮して 本当に具合が悪い時に隠したりしそうだしなぁ… 小夜さんに手伝いに来てもらうか… 「ま、子どもたちの風呂は俺がいれるし。食器洗いも後でやっておくから、今日は早く寝ること。わかった?」 「うん…ごめんね、ありがとう」 ふんわりと微笑んだ楓の顔は、やっぱりどこか辛そうで。 俺はこっそり小夜さんに連絡することを、心に決めた。

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