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嘘つき_4

作業を始めて一時間。 ようやく折り返し、なのだが……… 全っ然集中できない。 最初は気のせいか?と思っていたが、どうやら気のせいではなかったらしい。 周藤がずーっとこちらを見つめている。 無言のプレッシャーを掛けているのかと、チラッと様子を窺うと思いの外優しい視線が送られていた。 な、何なんだよ……勘弁してくれ……。 「なあ」 徐に周藤は口を開いた。 「それ」 と指したのは僕の眼鏡。 「それ何で掛けてんの?」 「目が悪いからに決まってるだろう」 「――嘘つき」 透かさず言われ、僕は言葉を詰まらせた。 確かに嘘だからだ。 本当は目なんてこれっぽっちも悪くない。 いわゆる伊達眼鏡というやつで、普段掛ける必要は全くない。 「大学の時さ、急に眼鏡掛けだしただろ?変だなって思ってたんだよね」 大学時代、あることがきっかけで掛け始めた眼鏡。 僕にとってこれはお守りだった。 「関係ないだろう、お前には」 「そうなんだけどさ。でも勿体無いよな」 何が?と言い掛けた口は開いたまま、言葉にはならなかった。 スッと伸びてきた周藤の手が僕の眼鏡を奪っていく。 「せっかく綺麗な顔してるのにさ」 瞬間、呆気にとられた。 なんで………。 なんで、そんなこと言うんだよ………。 「似合ってなさすぎて違和感あるし」 「うるさい、からかうのも大概にしろ」 周藤の手にある眼鏡を奪い返して、顔を見られないよう掛け直す。 だって、きっと、絶対、顔、赤いし………。 「からかってないって。本当の事だし」 だったら尚、たち悪い。 「もう少しだから、邪魔するな」 「へいへい」 少し拗ねた様子で周藤はスマホを弄り始める。 これで少しは集中出来る……。

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