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嘘つき_7

それを繰り返すこと一時間。 ちょっと飲みすぎたかも……頭がくらくらする。 「金崎?本当に大丈夫か?」 「……何が?」 「いや、どう考えても飲みすぎだろ。もう止めとけって」 周藤の言う事は間違っていないと分かってるけど、素直に認めたくなくて平気だと言い張る。 「だめだって。ほらそれは没収な」 俺の手からジョッキを奪った周藤が近くを通った店員に水を頼む様子をボーッと見つめる。 それにしても、同じ量を同じペースで飲んだというのに、目の前の奴は顔色一つ変わらない。 何か悔しい…………。 「金崎?ほら、水飲めって」 運ばれてきた水を差し出す周藤は、眉尻を下げ心配そうな面持ちだ。 優しいよな……普通に。 「飲めるか?」 「ん……」 問い掛けに短く返答して、グラスの水を一気に煽る。 「あ、馬鹿。ゆっくり飲めって」 周藤の心配は的中して、水が気管に入り咽返った。。 「ゲホッ……ゲホッ……」 「大丈夫か?」 「ん……んー……」 「こりゃだめだな、金崎もう帰ろう」 周藤はコートを羽織り、帰り支度を始めた。 「ほら、コート着て」 動き出さない僕にコートを着せようと、こちらの席に回り込んでくる。 「ん……やぁ……」 これ着たら楽しい時間が終わる。 まだ、帰りたくない……。 まだ、一緒に居たいよ……。 「金崎、コート」 「や……着ない」 「全く……弱いくせにハイペースで飲むから」 呆れた様子の周藤だが、今の僕には関係ない。 コートを着たくないと抵抗するも、その甲斐無くあっさりとコートを着せられ、周藤に引き摺られるように店の出口へ。 手早く会計を済ませる周藤を、僕は見ていることしか出来ない。 「あ、お金……僕が奢らなきゃ………」 「いいから。それよりちゃんと歩ける?」 馬鹿にしているのか? 歩くことぐらい僕だって出来る。 そう思って支えてくれていた周藤の手を振り払う。 どうだ、と威張ろうとした矢先、視界がぐらっと傾いた。 「っと、危な。だめだな、これは」 転倒を免れたのは周藤が腕を差し出してくれたからだ。 もうさ、やることなすこと本当にイケメンだよな。 むかつくぐらい。 「…………ばか周藤」 「助けてもらっといて何て言い草……」 やれやれと呆れ顔をする周藤だが、ふらつく体をしっかりと支えてくれている。 逞しい腕。きっと今まで沢山の彼女を抱いてきた温かい腕だ。

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